「採用定着士」高木厚博の欲しい人材が集まる!中小企業の中途採用成功術 #10

<第10回> 適性検査を実施し、採ってはいけない人を見極めよう(毎月第1木曜日に発信)

この会社の特徴

TAMA WORKをご覧の皆さん、こんにちは。採用定着士/社会保険労務士の高木です。

「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションとして、多摩地域を中心とした中小企業のサポートをさせていただいております。

このブログでは「欲しい人材が集まる!中小企業の中途採用成功術」と題して、
「求人を出しても応募が来ない・・・」
「応募はあるけど、いい人材が来ない・・・」
「入社したけど、すぐ辞めてしまった・・・」
といった人材確保にお悩みを持つ中小企業経営者、採用担当者の皆さんに役立つ内容を連載でお届けします。

第9回では「内定辞退を防ぎ、しっかり入社してもらう」としてお伝えしました。第10回目の今回は「適性検査を実施し、採ってはいけない人を見極めよう」というテーマでお伝えします。

はじめに

中小企業にとって、中途採用は即戦力となる人材を確保する大切な手段です。しかし、応募者のスキルや経験だけでなく、職場に適応する性格や価値観のマッチ度を見極めることは容易ではありません。その際に役立つのが「適性検査」です。本記事では、適性検査を中途採用に活用するためのポイントをわかりやすく解説します。

1.適性検査とは?

適性検査とは、応募者の性格や能力、価値観などを客観的に測定するためのツールです。一般的に、次のような目的で利用されます。

①性格検査:応募者の性格特性や行動パターンを把握する。
②能力検査:応募者の論理的思考力、計算力、言語能力などを測定する。
③価値観検査:応募者の働き方や会社の文化との適合性を確認する。

これらを組み合わせることで、応募者が自社の業務や職場環境に適応できるかどうかを判断する材料を得ることができます。

2.適性検査を導入するメリット

適性検査を活用することで、採用活動に以下のようなメリットがあります。

①客観的な判断が可能

面接だけでは見えにくい応募者の特性を、数値やデータとして確認できます。これにより、主観的な判断を補完し、より公平な採用が可能になります。

②ミスマッチの防止

適性検査を活用することで、応募者の特性と職場環境や業務内容の適合性を確認でき、早期離職のリスクを低減できます。

③採用プロセスの効率化

適性検査を一次選考や書類選考の段階で活用することで、効率的に応募者を絞り込むことができます。

④面接の質を向上

検査結果を基に面接で深掘りする質問を考えることで、より具体的なやり取りが可能になります。

ただし、適性検査はあくまで採用判断の一部です。過信せず、面接や実技試験など、他の評価手段と組み合わせて活用しましょう。

3.適性検査の選び方

適性検査は、多種多様な種類がありますが、選ぶ際には以下のポイントを意識しましょう。

①職種や業務内容に合った検査を選ぶ

例えば、営業職であればコミュニケーション能力やストレス耐性を測定する検査、事務職であれば注意力や正確性を測定する検査が適しています。

②検査結果の使い方を明確にする

検査結果をどのように採用判断に組み込むかを事前に決めておきましょう。例えば、「検査結果を参考にするが、最終的には面接結果を重視する」「検査結果のこの数値が○点以下の場合は採用を見送る」といったルールを設けると良いでしょう。

③信頼性と妥当性を確認する

市場にはさまざまな適性検査が存在しますが、信頼性(結果が一貫しているか)や妥当性(測定内容が目的に適しているか)を確認することが重要です。実績のある検査を選ぶと安心です。

④コストや実施時間に注意する

適性検査は無料のものから有料のものまで幅広くあります。採用コストとのバランスを考慮しつつ、自社に合ったものを選びましょう。また、実施時間も10分程度で終了するものから1時間以上かかるものまで様々です。中途採用、特にパートなどの採用であれば、あまり長い時間拘束させるものは応募者から敬遠されます。

4.適性検査の活用例

適性検査を活用したある会社の事例をご紹介します。

その会社は、適性検査に「ミツカリ(※)」というツールを利用しています。

「ミツカリ」は本人の性格特性やストレス耐性がわかるほか、既存の社員に予め受検させることで、応募者と組織のマッチ度が測定できるというユニークな検査です。

 この会社では、配属部署の社員とのマッチ度が低い応募者を採用しないようにしたことで、離職率が3分の1以下になるという結果が出たそうです。

※「ミツカリ適性検査」https://mitsucari.com/

まとめ

適性検査は、中途採用において応募者の特性を客観的に把握する有効なツールです。ただし、検査結果だけに頼りすぎず、面接や業務内容との適合性を総合的に判断することが重要です。適性検査を上手に活用することで、ミスマッチを減らし、自社にとって本当に必要な人材を確保することが可能になります。

ぜひ一度、自社の採用プロセスに適性検査を取り入れてみてはいかがでしょうか?

今回で本連載「欲しい人材が集まる!中小企業の中途採用成功術」は終了です。
中途採用の成功のカギは、貴社にとって採用したい人材に応募してもらえるよう、貴社の採用プロセスを一つ一つ見直していくことです。そのためには、まず貴社にとって採用したい人材とはどんな人材であるかをできるだけ鮮明にすることが大切です。

本連載を参考に、採用プロセスの見直しを実践していただければ幸いです。今までお読みいただきありがとうございました。


バックナンバー
◆内定辞退を防ぎ、しっかり入社してもらう Vol.9
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-09/


◆応募者を惹きつけ、見極める採用面接の流れ Vol.8
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-08/

入社したい!と思わせる採用面接のポイント vol.7
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-07/

応募者を逃がさない!応募から面接までのプロセスを強化しよう vol.6
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-06/

採用したい人材に刺さる求人原稿の作り方 vol.5
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-05/

魅力的な募集条件を設定するvol.4
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-04/

◆募集条件の決定方法 vol.3
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-03/


プロフィール

社労士事務所CRAFT 代表
採用定着士/特定社会保険労務士 高木 厚博(たかぎ あつひろ)
1974年大阪生まれ。私立清風高校、関西大学法学部卒業。大手外食企業にて、店舗管理等を経験。

退職後バイトをしながら試験勉強をし、社会保険労務士試験合格。地域最大級の社労士事務所に勤務。約15年勤務したのち2019年11月独立開業。顧問先企業の人事・労務の課題解決に取り組む一方、「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションに、採用支援、賃金制度・評価制度構築、「パワハラ予防研修」や「承認力向上研修」などの社内研修で中小企業の社員の定着・育成を支援している。

金融機関、商工会議所主催セミナーなど講演実績多数。パワハラ予防士。承認ファシリテーター。

著書「うちはいい会社です!と社員から言われる就業規則25のチェックポイント」(共著、泉文堂)。
NHK総合テレビ「おはよう日本」『103万の壁 企業の足かせ』出演。
好きな飲み物:よなよなエール 好きな食べ物:天下一品こってり

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