TAMA WORKをご覧の皆さん、こんにちは。採用定着士/社会保険労務士の高木です。
「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションとして、多摩地域を中心とした中小企業のサポートをさせていただいております。
このブログでは「欲しい人材が集まる!中小企業の中途採用成功術」と題して、
「求人を出しても応募が来ない・・・」
「応募はあるけど、いい人材が来ない・・・」
「入社したけど、すぐ辞めてしまった・・・」
といった人材確保にお悩みを持つ中小企業経営者、採用担当者の皆さんに役立つ内容を連載でお届けします。
第8回では「応募者を惹きつけ、見極める採用面接の流れ」としてお伝えしました。第9回目の今回は「内定辞退を防ぎ、しっかり入社してもらう」というテーマでお伝えします。
はじめに
中途採用でせっかく応募者を選考で合格に導いても、内定を辞退されてしまうケースは少なくありません。こうした事態を防ぐためには、応募者が安心して入社を決意できるようにする適切なフォローが欠かせません。今回は、内定辞退を防ぐための具体的な対応プロセスをご紹介します。
1.合否はできるだけ早く伝える
選考結果はできるだけ早く伝えましょう。他社との競争がある以上、スピード感を持って合格の連絡をすることで、応募者を囲い込むことが重要です。まずは電話などで第一報を伝えます。
ただし、この時点で「内定」という言葉を使うのは避けましょう。法律上、「内定」は会社側に法的拘束力を伴うため、軽々しく使用するとトラブルの原因になることがあります。特に、入社時期を巡る交渉で揉めた場合、「条件をつけなかった内定通知」が足かせになる可能性があります。
まずは電話で「選考に合格しました」と伝え、入社日などの条件を調整した上で、文面を精査した「内定通知書」を発行するようにしましょう。
2.条件面談を行い、具体的なビジョンを共有する
条件面談とは、給与や勤務条件などを具体的に伝える場です。この面談では、応募者に提示する条件を明確に伝えるとともに、入社後のキャリアや中長期的な役割についても説明しましょう。
例えば、「入社後すぐにはこの業務を担当していただき、将来的にはこういったポジションを目指してほしい」というように、応募者が働く姿を具体的にイメージできる情報を伝えることがポイントです。応募者が自分の未来像を描けると、入社への意欲が高まり、辞退率を下げることが期待できます。
条件面談の際に、面接での評価ポイントを伝えることも有効です。応募者は自分の面接結果について不安を抱えていることが多いものです。「こういう点を高く評価しました」と具体的に伝えることで、自社への好印象が強まり、辞退のリスクを下げることができます。
可能であれば、実際に働くスタッフを紹介しましょう。応募者にとって、現場の雰囲気やチームの人柄を知ることは、職場への適応をイメージするうえで重要です。良い面も悪い面も正直に伝えることで、入社後のミスマッチを防ぐ効果もあります。
3.在職者の退職フォローを忘れずに
応募者が在職中の場合は、前職の退職手続きをフォローすることも大切です。在職者は前職の引き留めにあったり、退職手続きの進め方が分からなかったりして、内定を辞退するケースが少なくありません。
例えば、「退職の方法が分からない場合はサポートします」と伝えたり、具体的なアドバイスをしたりする(社労士などの専門家に事前に相談することをお勧めします)ことで、応募者がスムーズに退職しやすくなります。このフォローは、応募者が安心して新たな環境に飛び込むための重要な一歩です。
4.内定を出すタイミング
在職中の応募者には、必ず「入社できるスケジュール」を確認したうえで、内定通知を出すようにしましょう。曖昧な状態で「いつまでも待ちます」と伝えるのは避けるべきです。入社日が確定しない場合には、「○月○日までに入社できない場合は内定を取り消す」という条件付きの内定通知書を発行するとよいでしょう。
「内定が出た場合、入社していただけますか?」と直接確認することも有効です。もし応募者が迷っている場合は、「どのような点で悩んでいますか?」と尋ね、悩みの原因を把握しましょう。この情報からライバル企業の状況や、自社の改善すべき点が見えてくることがあります。
応募者が迷っている場合、内定をすぐに出すのではなく、一定期間内に意思を伝えてもらうようにしましょう。「ご家庭で検討していただき、1週間以内にお返事いただければ、その時点で内定通知書を発行します」と伝えることで、内定を出してしばらくたった後に入社したいと言われる(この場合は他社に落ちた場合が多いですね)といったトラブルを防ぐことができます。
まとめ
まずは自社の内定辞退率を把握しましょう。内定辞退率が高い会社(50%以上はかなり問題あり)は以上の対応策を実践することで、内定辞退を防ぎ、採用活動の成功率を高めることが期待できます。
また、面接でいかに応募者を惹きつけられたかも辞退率に大きく影響します(連載 第7回・第8回参照)。
応募者に寄り添い、信頼関係を築くことが内定辞退を防ぐ鍵となります。
バックナンバー
◆応募者を惹きつけ、見極める採用面接の流れ Vol.8
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-08/
◆入社したい!と思わせる採用面接のポイント vol.7
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-07/
◆応募者を逃がさない!応募から面接までのプロセスを強化しよう vol.6
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-06/
◆採用したい人材に刺さる求人原稿の作り方 vol.5
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-05/
◆魅力的な募集条件を設定するvol.4
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-04/
◆募集条件の決定方法 vol.3
https://tama-work.jp/news/takagi-saiyouteicyakushi-03/
プロフィール
社労士事務所CRAFT 代表
採用定着士/特定社会保険労務士 高木 厚博(たかぎ あつひろ)
1974年大阪生まれ。私立清風高校、関西大学法学部卒業。大手外食企業にて、店舗管理等を経験。
退職後バイトをしながら試験勉強をし、社会保険労務士試験合格。地域最大級の社労士事務所に勤務。約15年勤務したのち2019年11月独立開業。顧問先企業の人事・労務の課題解決に取り組む一方、「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションに、採用支援、賃金制度・評価制度構築、「パワハラ予防研修」や「承認力向上研修」などの社内研修で中小企業の社員の定着・育成を支援している。
金融機関、商工会議所主催セミナーなど講演実績多数。パワハラ予防士。承認ファシリテーター。
著書「うちはいい会社です!と社員から言われる就業規則25のチェックポイント」(共著、泉文堂)。
NHK総合テレビ「おはよう日本」『103万の壁 企業の足かせ』出演。
好きな飲み物:よなよなエール 好きな食べ物:天下一品こってり
【連絡先】
〒206-0002 東京都多摩市一ノ宮1-26-7 ラミアール聖蹟508