梅澤朗広の採用SDGs #12

第12回目 エンタメ&スポーツ業界で進む脱炭素!企業が学ぶべきGX戦略

この会社の特徴

「梅澤朗広の採用SDGs」第12回目は、「エンタメ&スポーツ業界で進む脱炭素!企業が学ぶべきGX戦略」について考えます。
エンタメやスポーツ業界でも広がる脱炭素の波。音楽フェスや阪神タイガースの新球場がカーボンニュートラルに挑戦し、環境意識の高まりが加速しています。本記事では、GX推進が企業に与える影響や、脱炭素経営のメリットを解説。2050年のカーボンニュートラル達成に向け、企業が今取り組むべき戦略を探ります!

エンタメとスポーツ業界で広がる脱炭素の取り組み ー 環境意識の高まりとカーボンニュートラルへの挑戦

最近、環境意識の高まりを象徴するイベントが開催されています。その代表例の一つが、2025年2月に東京ドームで開催され
た音楽フェスティバル「ap bank fes ’25 at TOKYO DOME 〜社会と暮らしと音楽と〜」におけるカーボンニュートラル公演です。
(注:カーボンニュートラルとは、「出したCO₂(二酸化炭素)を、同じ量だけ吸収・除去して、ゼロにする」という考え方です)

このイベントは、音楽家の小林 武史氏、Mr.Childrenの櫻井 和寿氏、坂本 龍一氏によって設立された一般社団法人APバンク
が主催し、企業や生活者が「環境問題を自分ごととして捉え、よりよい選択をすること」を目的に開催されました。

イベントにおいて注目すべきなのは、このフェスがCO₂排出量を「見える化」し、その削減に挑戦した点です。イベントが発生させるCO₂排出量は、会場の運営に伴うエネルギー使用だけではなく、観客が移動する際に発生するCO₂が含まれます。具体的には、イベント全体でのCO2排出量は 894トン- CO₂ と算定されました。その内訳を見ると、最も多くのCO₂を排出していたのは、観客の移動(682トン- CO₂、全体の76.3%) でした。飛行機や自動車ではなく、電車や新幹線を選ぶだけでも大幅な排出削減が可能であることが示されました。

さらに、このフェスでは太陽光や風力などのクリーンな電気を使い、カーボンクレジット(企業や団体が実施したCO₂削減活動を証明する仕組み)を活用して、CO₂の排出をゼロにすることで、「100%カーボンニュートラル公演」を実現しました。これにより、音楽フェスという多くの人が集まるエンターテインメントの場でも、環境問題に積極的に取り組めることを周知することができました。

このような取り組みは、単なる『環境への配慮』にとどまらず、人々が日常生活の中で環境に優しい選択を意識するきっかけになります。ガソリン車の代わりにハイブリッド車を使う、自転車で移動するなど、エコな選択肢があることを知るだけでも、行動の変化につながります。

また、スポーツ界でも環境問題への意識が広がっています。阪神タイガースは、2025年に尼崎市の小田南公園に「ゼロカーボ
ンベースボールパーク」を新設します。このスタジアムは、脱炭素社会と循環型社会の実現を目指し、環境に優しい取り組みを推進します。年間約73万kWhの電力を供給する太陽光発電システムの活用や省エネルギー設備の導入、雨水利用システムなど、環境に配慮した取り組みを通じてカーボンニュートラルを目指します。球場運営のエネルギーをクリーンなものにする試みは、他のスポーツ施設にも波及していく流れです。
このように、エンターテインメントやスポーツ業界でも脱炭素の流れが進んでいる今、企業経営においても環境対応が無視できないテーマとなっています。

気候変動対策が加速する世界 ー SDGs・GX・ESG投資が導く持続可能な未来

世界的に気候変動や資源枯渇などの環境問題が深刻化し、国連はSDGsやパリ協定を通じて各国の脱炭素化を促進し、G7・G
20も再生可能エネルギー推進やESG投資を強化しています。環境対応は各国の経済競争力にも直結し、国際的な枠組みへの
適応が急務となっています。これを受けて、日本政府も2050年カーボンニュートラルを掲げ、GXを推進。経済成長と環境保護を両立させ、持続可能な社会を構築する方針を打ち出しています。
(GX:グリーン・トランスフォーメーションとは、環境に優しいエネルギー(太陽光や風力など)を増やし、二酸化炭素の排出を減らしながら、経済や社会のしくみを持続可能なものに変えていく取り組みのことです。)

GXがもたらす企業への影響と脱炭素経営の重要性

政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)は、企業活動に大きな影響を与えます。特に、カーボンニュートラルの実現、産業の脱炭素化、環境関連法規の強化が主要な政策として進められています。

カーボンニュートラル(2050年までの実現)

・2030年までに温室効果ガスを2013年比で46%削減する目標
・再生可能エネルギーの比率を拡大し、化石燃料依存を低減

GXの推進

・産業の脱炭素化を促進し、新たな成長分野を創出
・GX投資を活用した企業支援策(補助金・税制優遇)

環境関連法規の強化

・排出規制の強化、企業のESG対応義務化
・環境配慮型ビジネスへの投資促進

脱炭素経営とは

企業がCO₂などの温室効果ガスの排出を減らし、環境にやさしい方法で事業を行うことで、地球温暖化を防ぎながら経済的なメリットも得る経営のことです。

脱炭素経営の具体的な取り組みには、
① エネルギーの効率化(省エネ設備の導入)
② 再生可能エネルギーの利用(太陽光・風力発電の導入や再エネ電力の購入)、
③ 製品・サービスの低炭素化(サプライチェーン全体の排出量削減)、
④ 排出削減目標の設定(SBTやRE100などの国際基準への対応)などがあります。
特に大手企業はサプライヤーにも脱炭素の取り組みを求める傾向が強まっています。そのため、下請け企業や中小企業にとっ
ても無視できない課題となっています。

脱炭素経営に取り組むメリット

脱炭素経営には、企業にとって大きなメリットが5つあります。

競争力の向上と売上拡大

脱炭素経営を進めることで、環境意識の高い企業との取引機会が増加します。特に大手企業は、サプライチェーン全体で温室効果ガスの削減を求めるため、脱炭素の取り組みを進めている企業は有利になります。例えば、Appleはサプライヤーに再生可能エネルギーの利用を求めており、それに対応できる企業は受注の増加が期待できます。

コスト削減(光熱費・燃料費の低減)

省エネ設備の導入やエネルギー管理の最適化により、電力・燃料コストを削減できます。例えば、エネルギー効率の高い設備を導入した企業では、電力消費を20~30%削減し、長期的に大きなコスト削減効果を得ています。また、再生可能エネルギーを導入することで、長期的な電気代の上昇リスクを抑えることも可能です。

企業ブランドの向上

脱炭素経営に積極的に取り組むことで、社会的評価が向上し、メディアへの露出や自治体からの表彰機会が増えます。環境問題への対応を重視する消費者や投資家からの信頼が高まり、ブランド価値の向上にもつながります。

人材確保と従業員のモチベーション向上

気候変動問題への対応は、従業員のエンゲージメント向上にも貢献します。環境意識の高い若手人材の採用に有利になり、企業の社会的責任(CSR)への取り組みを通じて、従業員の誇りや働きがいの向上につながります。

資金調達の優位性

金融機関も脱炭素経営を進める企業への融資を優遇する傾向にあります。例えば、「サステナビリティ・リンク・ローン」など、温室効果ガス削減目標の達成状況に応じて金利が変動する融資制度が登場しており、環境対応を進める企業は有利な条件で資金調達が可能になります。

【まとめ】脱炭素経営がもたらす企業の未来

脱炭素経営は、単なる環境対策にとどまらず、企業の競争力強化やコスト削減、新たなビジネス機会の創出につながる戦略的
な取り組みです。2050年のカーボンニュートラル達成に向け、企業は積極的に脱炭素化に取り組むことで、長期的な成長と持
続可能な経営基盤を築くことができます。特に中小企業にとっても、エネルギーコストの削減や取引拡大、補助金の審査で加点要素となるなど、具体的なメリットがあるため、今こそ脱炭素経営への第一歩を踏み出すべき時です!

プロフィール

梅澤 朗広

SDGusサポーターズ株式会社 代表取締役
日本JC公認SDGsアンバサダー
FC NossA八王子 アドバイザリーボード

大切にしている価値観:感謝・貢献・共創
野村證券、東京ヴェルディを経て2019年にSDGusサポーターズ株式会社を設立。SDGsの「持続可能な社会の実現」「誰一人とりのこさない」の理念に共感し、企業に対してCSV(共通価値の創造)の観点で事業活動と社会活動の両立に向けた経営サポートをおこなっています。SDGsと自社の活動に対する理解を深めてアクションを考えるワークショップや、様々なパートナーと連携して営業・広報・採用のサポートをおこなっています。

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