梅澤朗広の採用SDGs #4

毎月第3週の木曜日に配信

この会社の特徴

「梅澤朗広の採用SDGs」第4回目は、「自社の取り組みをSDGs2.0の六方良しで改善する価値」についてご紹介していきます!

前回は自社のビジネスが持続可能な社会の実現についてできることを、なぜ自分(自社)がやるのかという理念や想いを発信していくことが消費者のファンづくりや事業を進める仲間(採用)、社内を一つにまとめるといった効果に繋がるとお伝えしました。

今回は、SDGs2.0の「六方良しで改善する」ことが自社にどのような価値をもたらすかについてご紹介します。
目次

SDGs2.0の六方良しで改善する価値

前回、「世界中の国や企業、市民が持続可能な社会を築いていくために取り組む17のゴール。その17のゴールから取り組むことができること、既に取り組んでいることを洗い出すのがSDGs1.0です。」とお伝えしました。日本におけるSDGsの認知度も9割近くまで高まっていますが、企業におけるSDGsへの取り組みについては、自社がSDGsのどのゴールに取り組んでいるかをマッピング(ひもづけ)しているSDGs1.0に留まっている企業が多く見受けられます。

ここからステップを1つ上げて、自社の事業や取り組みをSDGs2.0の六方良しで改善させていくと、どのような価値をもたらすか。

六方良しで改善

近江商人の三方良し「売り手良し、買い手良し、世間良し」に、SDGs経営の要素である「未来良し、地球良し、作り手良し」の新たな視点から考えてみて、どのような価値をもたらすかをご紹介します。

創業90年三代目社長の挑戦は世界進出へ

静岡県浜松市に本社を置く「株式会社丸源竹内組」。創業90年、施工実績は2万件を超える歴史ある会社です。

ある日、3代目の竹内隆介社長は取引先の社長さんからこんな悩みを相談を受けました。

「夏になると工場の中が暑くて熱中症になる従業員が増えて、稼働がストップしてしまう。何より従業員の健康が心配だ。どうにしかしたいんだ」

「暑さ対策」という課題に対して、自社の塗装施工で貢献できることはないか。

技術開発を進めて、完成したのが窓ガラスの遮熱塗料。

遮熱というと、屋根や壁への施工が一般的ですが、窓ガラスに対しては実例はあまりないようでした。

この窓ガラス遮熱を工場だけでなく、学校の体育館などにも施工を進めていった結果、効果や社会性が評価され、スズキ自動車工場での施工といった大手との新規案件受注やNHK、TBSなどに特集されることとなりました。

SDGsの気候変動に対する解決策に対して、窓ガラス遮熱を進めて、暑さ対策を進めたい。従業員の健康を守りたい。

その想いに共感する代理店は全国に広がり、環境省のグッドライフアワードSDGsビジネス賞の受賞にも繋がりました。

竹内社長はカーボンニュートラルへの取り組みを進めたいと、日本ではまだ数百社しか取得していないSBT認定を取得。(「Science Based Targets」の略称。温室効果ガス削減に向け、各企業が設定する5〜15年後の温室効果ガス排出削減目標のこと)。大手との新規案件受注へのフックにも生かし、技術に興味を示す海外企業との連携にも取り組んでいます。

気温上昇が続く地球、私たちの生活の未来を守る取り組みはこれからも広がっていきます。

自社の社会価値を再定義する

タイヤメーカーとして長い歴史を持つミシュラン。人類の発展にモビリティが不可欠であり、常に技術革新を続けて高性能のタイヤを製造していくことを自社の社会価値としています。より良い製品の提供という顧客の課題解決に貢献することと併せて、環境問題やドライバーの交通事故防止といった社会課題の取り組みを考えました。

自社ができることの社会価値をSDGsの目線から再定義し、「ドライバーの安心安全を守るサービス企業へ」として、タイヤをサブスクリプションモデルで提供し、タイヤにセンサーを装着することで走行距離や摩耗度合いなどを計測。データに応じたタイヤの交換時期や燃費改善のアドバイスへと改善しました。

社会の課題をSDGsのゴールから見つめ、自社のビジネスを改善して解決していく。言い換えれば社会のニーズに合う商品やサービスへと改善して提供していくことで、これからの経営においても成長が期待できるやり方へと変えていけるヒントがあります。

改善に向けて押さえておきたいCSV

実際に、自社の事業を通じて社会課題を解決していこうとする中で役立つ考え方が、米国経営学者マイケル・ポーターが提唱する「CSV(Creating Shared Value)」です。

CSVについて、中小企業庁の中小企業白書より抜粋してご紹介します。

「共有価値の創造」、「共通価値の創造」等と訳される。CSVは、企業の事業を通じて社会的な課題を解決することから生まれる「社会価値」と「企業価値」を両立させようとする経営フレームワークである。マイケル・ポーターの提唱したCSVでは、共通価値の概念について「企業が事業を営む地域社会や経済環境を改善しながら、自らの競争力を高める方針とその実行」と定義している。また、そこではコストを踏まえた上で社会と経済双方の発展を実現しなければならないという前提の下、「社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的価値が創造されるべき」というアプローチを提唱し、「企業の成功と社会の進歩は、事業活動によって結び付くべき」としている。

<中小企業庁 中小企業白書2014年版 第3節 社会価値と企業価値の両立より>

文字数が足りなくなってきましたので、次回では、このCSVを3つのアプローチから自社の事業や取り組みを改善させる手法についてご紹介していきます!

プロフィール

梅澤 朗広

SDGusサポーターズ株式会社 代表取締役
日本JC公認SDGsアンバサダー
FC NossA八王子 アドバイザリーボード

大切にしている価値観:感謝・貢献・共創
野村證券、東京ヴェルディを経て2019年にSDGusサポーターズ株式会社を設立。SDGsの「持続可能な社会の実現」「誰一人とりのこさない」の理念に共感し、企業に対してCSV(共通価値の創造)の観点で事業活動と社会活動の両立に向けた経営サポートをおこなっています。SDGsと自社の活動に対する理解を深めてアクションを考えるワークショップや、様々なパートナーと連携して営業・広報・採用のサポートをおこなっています。

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