「採用定着士」高木厚博の欲しい人材が集まる!中小企業の中途採用成功術 #2

<第2回> 求める人材像を明確にする採用ペルソナの決定方法と、その具体的なステップ

この会社の特徴

TAMA WORKをご覧の皆さん、こんにちは。採用定着士/社会保険労務士の高木です。

「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションとして、多摩地域を中心とした中小企業のサポートをさせていただいております。

このブログでは「欲しい人材が集まる!中小企業の中途採用成功術」と題して、
「求人を出しても応募が来ない・・・」
「応募はあるけど、いい人材が来ない・・・」
「入社したけど、すぐ辞めてしまった・・・」
といった人材確保にお悩みを持つ中小企業経営者、採用担当者の皆さんに役立つ内容を連載でお届けします。

第1回では中途採用の基礎知識についてお伝えしました。中小企業が中途採用で成功するためには、採用する人材の明確なイメージを持つことが不可欠です。第2回となる今回は、求める人材像を明確にする採用ペルソナの決定方法と、その具体的なステップについて解説します。

目次

1.採用ペルソナを設定しよう

ペルソナとは本来はマーケティング用語で自社の商品やサービスを利用している(もしくは利用してほしい)具体的なユーザー像を指します。それを採用活動に応用したものが採用ペルソナで、会社が採用したい理想的な人物像を指します。できるだけ詳細に設定することがポイントです。

例えば、「25歳、男性、営業職、入社4年目、独身、趣味は筋トレ・・・」といった具合です。実際にそのような人がいるとイメージできるような具体的な人物像を設定します。

では、なぜ採用ペルソナを設定するのでしょうか?

採用活動には、人事の採用担当、所属部署の上司、面接担当の役員など複数の社員が関わります。転職サイトの活用など外部のスタッフに関わってもらうことも多いです。採用ペルソナを明確にし、各担当者が共有することで、選考プロセスでの見方のずれがなくなり、理想像に沿った人材の獲得に近づきます。

また、人材像のイメージを鮮明にすることで、その人材像に向けた採用活動を行いますので、ピッタリ当てはまる求職者には「私のための求人だ!」と感じ、応募につながります。当てはまらない人は応募しなくなるため、ミスマッチを防ぎ、面接などの効率化にもつながります。

2.採用ペルソナ設定のしかた

採用ペルソナを具体化するためには、次のステップを踏みます。

①活躍している社員の特徴を見える化する

採用を予定している職種で現在活躍している社員の特徴を明らかにします。その社員がどのようなバックグラウンドを持ち、どのようなスキルを持っているかなどを分析します。

また、その社員がなぜ当社を辞めずに働き続けているか、その理由を考えることも重要です。

例えば「上司から仕事を任されイキイキと働いている」「残業がなくプライベートと両立しやすいから続けられている」といった理由です。これらの理由を明確にすることで、「こういう考えのスタッフたちと上手くやっていける、○○な感じの人が欲しい」といったイメージが浮かんでくると思います。

②採用ペルソナを設定する

活躍している社員の特徴を見える化できたら、採用ペルソナを設定します。採用したい理想の応募者はどのような特徴を持っていてほしいかを明確にします。具体的には、以下のような項目を書き出してみましょう。

  • 年齢
  • 性別
  • 家族構成
  • 経歴(学歴や職歴)、スキル
  • 現在の職場での部署、役職、勤続年数、年収
  • 性格(例:積極的に提案するタイプ)
  • 趣味・休みの過ごし方
  • 目標や夢、逆に人生の課題 など

これらを具体的に設定することで、理想の人材像が明確になります。

3.シンプルかつ効果的な欲しい人材の考え方

採用ペルソナの設定が難しいと感じる方は、以下のステップで求める人材像を具体化することもおススメです。

理想的な人材は・・・

①どこの会社で働いている、何事業部の、何年目くらいの人ですか?

   現在どのような会社で、どの部署に所属し、どのくらいの経験を持っているかなどを考えます。例えば、「同業他社のA社で入社5年目の営業担当者」などです。

②その方が転職するとしたら、どのような理由が考えられますか?

   転職を考える理由として、上司との人間関係がうまくいっていない、成長できない、業績が悪化して将来が不安だ、全国転勤はしたくない、などが考えられます。これらの理由を元に、転職希望者の心情を理解します。

③その方が当社に入社するとしたら、どんな理由が考えられますか?

    A社と比較し、当社に魅力を感じる理由を考えます。例えば、規模ではA社に劣るが少数精鋭なのでキャリアアップの機会がある、スタートアップで会社が成長している、地元密着で転勤がない、などです。

4.明確なメッセージとターゲティング

中小企業の中途採用で大切なのは「たくさんの応募者を集めること」ではなく、「当社にマッチする欲しい人材を集めること」です。どんな人でもよいからとにかく応募してほしいと考え幅広い層をターゲットにした求人広告は、実は誰の目にも止まりません。中小企業の採用では、広く募集をかけるのではなく、ピンポイントで理想の人材に向けてアプローチすることが効果的です。

中小企業の採用は投網作戦ではなく、一撃必殺の狙い撃ちが正しい戦略です。理想の人材像に合致する応募者をターゲットにした採用活動を行いましょう。採用ペルソナに響くメッセージを作成し、そのメッセージを適切な媒体で発信します。これにより、理想の人材に興味を持ってもらうことができます。

まとめ

中小企業が中途採用で成功するためには、採用ペルソナを明確にし、理想の人材に向けた具体的なメッセージと戦略を構築することが重要です。たくさんの応募者を集めることよりも、会社にフィットする人材を見つけ出し、効率的に採用することが成功の鍵となります。この方法を取り入れることで、採用活動がより効果的になるでしょう。ぜひ実践してみてください。

プロフィール

社労士事務所CRAFT 代表
採用定着士/特定社会保険労務士 高木 厚博(たかぎ あつひろ)
1974年大阪生まれ。私立清風高校、関西大学法学部卒業。大手外食企業にて、店舗管理等を経験。

退職後バイトをしながら試験勉強をし、社会保険労務士試験合格。地域最大級の社労士事務所に勤務。約15年勤務したのち2019年11月独立開業。顧問先企業の人事・労務の課題解決に取り組む一方、「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションに、採用支援、賃金制度・評価制度構築、「パワハラ予防研修」や「承認力向上研修」などの社内研修で中小企業の社員の定着・育成を支援している。

金融機関、商工会議所主催セミナーなど講演実績多数。パワハラ予防士。承認ファシリテーター。

著書「うちはいい会社です!と社員から言われる就業規則25のチェックポイント」(共著、泉文堂)。
NHK総合テレビ「おはよう日本」『103万の壁 企業の足かせ』出演。
好きな飲み物:よなよなエール 好きな食べ物:天下一品こってり

【連絡先】

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