#4 環境変化の激しい今、経営の基本を固め、先人の知恵を活かしましょう!

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新年2026年がスタートして、早くも1ヶ月が経とうとしています。環境変化が激しかった2025年ですが、日本の政界では、公明党の連立離脱、自民と維新の連立を経て日本初の女性総理となる高市政権が成立しました。そして、2026年も為替では円安傾向が継続して輸入物価が上昇し、また政治面では衆議院選挙と立民・公明の新党結成などの大きな動きがあります。果たして高市政権の物価高対策が功を奏するのか、円安による更なる物価上昇での生活苦が続くのか、政治環境変化とも併せて、まだまだ見通せない感じです。そこで今回は、環境が変化する中で、あなたの事業経営の基軸を明確にして、ぶれない経営判断をタイムリーに行なう自信を持っていただけることを願って、経営者の皆さんに参考としていただけそうな項目を幾つか掲載させていただきました。


1,振り返りと基本的考察

昨年10月の第3回目は、ハーバード大学ランジェイ・グラティ教授の「予測不能な事態が次々と起こる不確実性の高い時代に、ビジネスリーダーは勇気を持ってこれを乗り越えるべし」という内容が要旨の記事(広瀬潔Harvard Business Review 編集諮問委員翻訳)を引用しました。この記事では、「勇気」がビジネスに不可欠な競争優位をもたらす力であるとしていますが、小生の原稿では、それを補足する形で言い訳に逃げてはいけないことと、失敗してもきちんと反省して次に進むべきことを指摘しています。

ところで、勇気を持って変化に対応するといっても、事業経営においては、何をやっても良いということにはなりません。やはり基軸となるドメインや経営理念を明確にしてブレない経営判断をしていただくことが必要です。昨年12月10日に2025年度のノーベル生理学・医学賞受賞した大阪大学の坂口志文博士や同じくノーベル化学賞を受賞した京都大学の北川進博士は、それぞれ本当に長い期間のブレない研究の成果が評価された訳です。

このようなブレない姿勢が大きな成果に繫がる基本要素であることは皆さん十分ご理解いただけると思います。この点を2項で少し言及します。一方で、最近の政治・経済情勢を見ていると、現在の日本は、福沢諭吉や渋沢栄一のような後世にも指針となるような思想を持った政治・経済分野の指導者は少ないと感じます(松下政経塾で多くの政治家や経済界で活躍する人を輩出した松下幸之助が最後の大物リーダーでしょうか?)。この点に関連して、昭和の時代に政治・経済の世界に大きな影響を与えた日本の思想家を3項でご紹介します。

2,経営の基本としてのドメインと経営理念

 
(1)あなたの事業の特長、価値、らしさを知ってもらい、それをビジネスに繋げるには、具体的に長期的なあなたの事業の存立を委ね、経営資源を効率的に投入していく「あなたの事業の生存領域」を明確にすることが必要です。これは、経営戦略の構成要素であり、「誰に」「何を」「どのようにして」提供していくかをはっきりさせることです。この「誰に」「何を」「どのようにして」をドメインと言います。経済用語ではドメインとはあなたが事業活動を行う「事業領域」を意味します。なお、インターネット上での「住所」を表す文字列として有名な「.com」や「.co.jp」などもドメインと呼ばれるので、そちらの方が皆さんには身近に感じるかもしれませんね。

 
(2)一般的に、経営理念は経営者がその事業を導くための考え方や運営原則でありドメインそのものを示す場合もあります。それを具体的な形=ゴールや成果として示すのが経営目標です。この経営目標にそって経営戦略や事業計画を策定することになります。

また、経営理念は、この事業(会社)は何のためにあるのか、この事業(会社)はどのように行動し、活動するのか、あるいはどのような方向を目指すのかを示し、経営者はもちろん、管理者、従業員が活動する際の拠り所とするものです。

一般に、経営理念は以下のような形あるいは区分で表現されます。

特に、事業経営においては、不確実な環境予測の下で、常に変化していく経済環境の変化に鋭敏に対処し、最適な意思決定を行っていかなければなりません。意思決定が場当たり的でブレが無いようにするには明確な経営理念が指針として存在することが望ましいのです。ここに現在の環境における経営理念の重要性・意義があります。

以上の「ドメイン」と「経営理念」は事業経営における基本中の基本なので、多くの方は自分の場合は出来ているとお考えかもしれません。但し、世の中が変化することは、従前からのドメインや経営理念について見直しが必要かもしれない状況にあることを示しています。これを契機として、あなたの事業ドメインや経営理念が将来に向かって適切か否か、改めて検討いただけると幸いです。

3,変化への対応に心の支えとなる日本の思想家・座右の書

変化の激しい現代において、あなたが問題や困難に直面した場合の心の支えになる座右の書はお持ちですか?筆者の場合は昭和の思想家安岡正篤氏の「百朝集」が座右の書です。安岡正篤(1898-1983)氏は、終戦時に昭和天皇御自身による玉音放送でのラジオ放送原稿に加筆修正して完成させたことから、皇室からの信頼が厚かった思想家です。そして、戦後の日本の復興期から成長期には吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、福田赳夫、大平正芳などの歴代首相から信奉され、「実践的な人物学」や「活きた人間学」を元に多くの政界人や財界人の「精神的指導者」「ご意見番」でした。経済界では、三菱グループ、近鉄グループ、住友グループ、東京電力などの経営陣を指南していたことも有名です。表に出ることは少なく、自分自身は権力を持たない反面で、権力を持つ人たちに影響力を持ち、日本の復興と成長を陰で支えた希有な人物と言えます。

この安岡正篤が、終戦直前・直後の100日間私塾の師弟達に語った名言や名歌などの箴言を纏めたのが「百朝集」です。古今東西の賢人たちの言葉が引用されており。人生の指針となる教えが詰まっています。(次回、この「百朝集」の内容をご紹介します。)

4,あなたの事業の位置づけを、ローカルベンチマークで確認しよう

環境が変化し、業況も変わることから、あなたの経営する事業の属する業界で、あなたの事業がどんなポジションにあるのか、日頃から把握いただくことが必要です。経済産業省が推奨する「ローカルベンチマーク(略称:ロカベン)」はそのような事業者の各業界における経営状態を把握するための、いわゆる企業の健康診断を行なう無料ツールです。

ロカベンは、財務面、商流・業務フロー、非財務面の現状把握ができますが、筆者はこのうち特に財務面を自己分析されることをお勧めします。ネットからロカベンシートをダウンロードいただき、所定の項目に決算数字を記入いただくと、6項目の指標についての算出結果、あなたの事業の点数、業界基準値が表示され、同時に次表のようなレーダーチャートによる分析結果が示されます。

この6項目の指標とは、売上増加率、営業利益率、労働生産性、EBITDA有利子負債倍率、営業運転資本回転率と自己資本比率であり、これらの分析結果を把握いただくことで、あなたの事業の強みや補強すべき点がはっきりします。是非活用してください。

以上

プロフィール

中小企業診断士 草の葉コンサルテイング代表
飛田 光雄

国内外の豊富な事業経験と、中小企業診断士としての専門知識を融合・活用して、中小企業の起業前の創業計画策定から開業、経営改善、事業拡大、トラブル処理などの実践的経営支援を行なっている。

1946年東京都武蔵野市生まれ。一橋大学法学部卒業。ミシガン大学ビジネススクールエグゼクティブコース修了。
帝人株式会社を常務理事法務室長で退任。その間韓国SKグループに約5年出向。海外事業、化成品事業、経営法務全般を担当。社外活動は日本経団連経済法規委員会委員、経営法友会理事等。

2008年コンサルタント活動開始。ジェトロ新興国進出支援専門家、多摩西部コンサルタント協会副代表理事、東京都よろず支援拠点コーディネーター、稲城市商業活性化プラン策定事業受託責任者、多摩市緊急経営相談事業受託責任者等を歴任。

得意分野:経営戦略、マーケティング、創業、事業承継、経営改善等。
支援業種:飲食業、サービス業、製造業、小売業、卸売業、建設業等。これらの分野と業種でコロナ前は各種支援機関で多数のセミナーや月30件以上の個別相談を実施。また、各種の補助金・助成金につき多数の申請支援を行っている。コロナ以降は、事業者のニーズ変化に対応し、長期継続支援に重点をシフトして現在に至る。

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