#13 エンゲージメントを高め、定着率をあげる!上司の関わり方のコツ

毎月第1週の木曜日に発信

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TAMA WORKをご覧の皆さん、こんにちは。採用定着士/社会保険労務士の高木です。
「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションとして、多摩地域を中心とした中小企業のサポートをさせていただいております。
この記事では「せっかく採用したのに…を防ぐ!社員が定着する職場づくりのポイント」と題して、
「採用はできたが、すぐ辞めてしまう・・・」
「定着率を上げたいが、どうしたらよいかわからない・・・」
といった人材定着にお悩みを持つ中小企業経営者、人事担当者、管理職の皆さんに役立つ内容を連載でお届けしています。
今回は「エンゲージメントを高め、定着率をあげる!上司の関わり方のコツ」についてお伝えします。




はじめに

前回(第12回)は、「うちの会社も賃上げは必要?人材確保につなげる賃上げのポイント」と題して、賃上げを経営戦略として捉え、自社の現状分析と目的を明確にしたうえで取り組む重要性についてお伝えしました。

賃上げや制度整備を進める中で、それでも「条件は悪くないはずなのに、なぜか続かない」というご相談を受けることがあります。給与という土台を整えた後に必要なのが、今回のテーマ——エンゲージメントと、それを左右する上司のマネジメントです。

最終回は、連載の締めくくりとして、「社員が辞めずに長く活躍できる職場」をつくるための実践的なポイントをお伝えします。

1.エンゲージメントは「満足度」ではなく「自分ごとにする力」

「エンゲージメント」という言葉、最近よく耳にするようになりましたが、「社員満足度」や「会社への好感度」とは少し違います。

正確に言えば、「この会社の成果に自分も関わっている」と感じながら、必要な努力や工夫を自発的に行う状態のことです。

人は「自分がここで必要とされている」と感じるとき、はじめて自分から考えて動こうとします。逆に、何を期待されているかわからない、頑張っても誰にも気づいてもらえない状態が続くと、仕事はただこなすだけになり、条件の良い職場があれば迷わず転職を考えるようになります。中小企業では一人ひとりの影響が大きい分、この差が業績に直結します。

2. 「給与を上げたのに辞める」会社に足りないもの

賃上げはもちろん必要です。ただ、給与はあくまで「土台」であって、定着の決定打にはなりにくいです。

実際に退職の引き金になりやすいのは、もっと日常的な場面です。

・何を期待されているのかが、よくわからない
・頑張っていても、誰にも見てもらえていない
・相談しにくい雰囲気がある、または叱られ方がきつい
・方針が突然変わるのに、理由を説明してもらえない

こういった状態を放置したまま条件だけ良くすると、「他社でもっと良い条件があれば移る」という社員を育てることになります。むしろ流動化が加速してしまうのです。

3.エンゲージメントを左右する最大要因は「直属上司」

ではエンゲージメントを高めるには何が必要でしょうか。最も影響力が大きいのは、直属上司の日常的な関わり方です。

社員が毎日接しているのは「会社」ではなく「上司」です。「自分の仕事は何のためにあるのか」「ちゃんと見てもらえているのか」——社員がこうした問いに安心できるかどうかは、ほぼ上司との関わりで決まります。目的を伝え、任せ、認め、適切に修正する。この積み重ねが「この職場で頑張ろう」という気持ちをつくります。主体性は性格や意欲だけで決まるのではなく、上司の関わり方によって引き出されるものなのです。逆に、部下の仕事をよく見ない、声もかけない、感情で叱る職場は、どれだけ制度を整えても早期離職が続きます。

4.上司が今日からできる、エンゲージメントを上げる5つの行動

難しい仕組みは不要です。まずは日常の「行動」を変えることが先です。

(1)期待役割を言葉にする(曖昧な指示をやめる)

「ちゃんとやって」「いい感じに」では部下は動けません。今週の優先順位・判断基準・任せる範囲を具体的に伝える。指示待ちに見える社員の多くは、実は「何をすればよいかわからない」状態です。役割が明確になるだけで、自然と主体的な行動が生まれてきます。

(2)事実ベースで見て、記録する(評価・指導の精度を上げる)

「上司は結局、好き嫌いで判断している」と感じた瞬間、社員の気持ちは冷めます。日頃から部下の行動・成果を観察してメモする習慣をつけると、声かけやフィードバックが具体的になり、評価への納得感が上がります。

(3)承認は「結果」だけでなく「プロセス」にも出す

成果だけを褒める文化では、結果が出ない時期の社員が折れやすくなります。「報連相が早くなった」「段取りが改善された」など行動の変化を認めると、社員は「自分の努力が見えている」と感じ、それが自信となって「もっとやってみよう」という主体性につながります。

(4)1on1は「長さ」より「頻度」(15分で十分)

月1回60分より、週1回15分の方が効果的です。「最近どう?」→「困っていることは?」→「次にやることは?」この流れで十分です。困りごとや不安を早めに聞き出すことで、社員は余計な心配をせず仕事に集中できるようになります。安心して向き合える環境が、主体的に動く土台になるのです。

(5)注意・指導は「人格」ではなく「行動」に向ける

「なんでできないんだ」という言葉は関係性を一瞬で壊し、社員を萎縮させ、指示通りにしか動かなくさせます。「何が起きていて、次はどうするか」に焦点を当てた指導であれば、社員は改善策を自分で考える経験を積めます。この繰り返しが、自ら考えて動ける社員を育てていきます。

特に管理職が固定化していた会社ほど「上司のやり方が属人化」しているため、これら5つの行動を標準化するだけで離職率が下がりやすくなります。

まとめ

エンゲージメントは、精神論ではありません。

「期待役割の明確化」「事実に基づく観察」「プロセスへの承認」「短時間高頻度の対話」「行動に向けた指導」——この基本動作が揃うだけで、職場は確実に変わります。

まず今週、一つだけ試してみてください。部下に「今週、あなたに期待していることはこれです」と、言葉にして伝えてみる。それだけで、職場の雰囲気は少し変わるはずです。

全13回にわたってこの連載をお読みいただき、本当にありがとうございました。皆さんの職場に、少しでもお役に立てたなら幸いです。

プロフィール

社労士事務所CRAFT 代表
採用定着士/特定社会保険労務士 高木 厚博(たかぎ あつひろ)
1974年大阪生まれ。私立清風高校、関西大学法学部卒業。大手外食企業にて、店舗管理等を経験。

退職後バイトをしながら試験勉強をし、社会保険労務士試験合格。地域最大級の社労士事務所に勤務。約15年勤務したのち2019年11月独立開業。顧問先企業の人事・労務の課題解決に取り組む一方、「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションに、採用支援、賃金制度・評価制度構築、「パワハラ予防研修」や「承認力向上研修」などの社内研修で中小企業の社員の定着・育成を支援している。

金融機関、商工会議所主催セミナーなど講演実績多数。パワハラ予防士。承認ファシリテーター。

著書「うちはいい会社です!と社員から言われる就業規則25のチェックポイント」(共著、泉文堂)。
NHK総合テレビ「おはよう日本」『103万の壁 企業の足かせ』出演。
好きな飲み物:よなよなエール 好きな食べ物:天下一品こってり

【連絡先】

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