みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了されてから、今年で12年目となりました。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして活動しています。
今回は、ブランディングにおいても欠かせない「外部環境要因」についてお話しします。これまで(Vol.07以降)、3C分析をもちいて「自社」「顧客」「競合」という3つの視点から、ミクロ環境を整理する重要性をお伝えしてきました。そして、同じくらい重要なのが、マクロ環境の視点です。
昨年大きく動いた政治の動向や、日々変化のスピードを増しているテクノロジー分野をはじめ、私たちを取り巻く環境は静かに、しかし確実に変わり続けています。とくに近年、革新的な変化をもたらしているAI技術は、私が長年関わってきたデザイン業界にも大きな影響を与えています。その変化のスピードと影響範囲は計り知れず、今後も事業環境を大きく変えていく要因の一つになるでしょう。
こうした変化は、自社の努力だけではコントロールできない一方で、ブランド戦略や事業の方向性に大きな影響を与えます。
今回は、見落とされがちな「外部環境要因」に目を向けながら、その重要性について、PEST分析を例に整理していきます。
PEST分析とは?
PEST分析は、経営学者でマーケティングの第一人者として知られる、ノースウェスタン大学ケロッグ・ビジネススクール教授のフィリップ・コトラー氏らによって体系化・普及してきたフレームワークです。
政治・経済・社会・技術の4つの視点からマクロ環境(社会を取り巻く大きな外部要因)を整理し、現在および将来的に事業やブランドへどのような影響が考えられるかを読み取るために用いられます。
- Politics(政治的要因):政府の政策、法規制、政治的安定性など
- Economy(経済的要因):経済成長率、インフレ率、為替レートなど
- Society(社会的要因):人口動態、ライフスタイルの変化、文化的トレンドなど
- Technology(技術的要因):技術革新、研究開発、インフラの進化など
これらは、企業の努力だけでは変えられない前提条件として存在しています。
PEST分析の利点は、こうした外部環境を整理することで、戦略やブランディングの出発点を明確にできる点にあります。市場の変化を感覚や経験だけに頼るのではなく、「なぜ今、この状況が生まれているのか」を構造的に理解することが可能になります。また、自社の業種・業態にとって追い風となる要因、あるいはリスクとなる要因を見極めやすくなるのも大きな特徴です。
マクロ環境を俯瞰したうえで戦略を考えることで、無理な競争を避け、自社の強みが活きる領域を選び取る判断がしやすくなります。

なぜマクロ視点が必要なのか?
多くの経営者や担当者が、「競合に勝つには?」という視点で3C分析に取り組みます。もちろん、それも重要です。
しかし、例えば次のような状況が起きているとします。
- 法令や補助金制度が変わり、販売条件が変わった
- 物価や人件費の高騰で利益構造が変わってきた
- 顧客の価値観やライフスタイルが変化してきた
- 新しい技術が購買行動を変えつつある
こうした事象は、「環境という土俵自体が変わった」ことを示しています。
いくら優れた3C分析ができても、前提条件を見落としていては成果につながりません。PEST分析は、こうした“変わりゆく前提条件”に気づき、整理するためのツールです。
PEST分析の実例観点
例えば:
- 政治・制度面
地方自治体の補助金・規制緩和、業界団体のガイドライン改訂など - 経済面
原材料価格の高騰、消費者の購買力の変化 - 社会・価値観面
健康志向やサステナビリティ意識の高まり、働き方の変化 - 技術面
デジタルシフト、ネット広告のアルゴリズム変化、AIの普及
このように、外部環境を広く俯瞰することで、「何が変わっているのか」「何が変わらない前提なのか」を整理できます。
考える前に立ち止まる視点
PEST分析の目的は、未来を完璧に予測することではありません。「変えられない前提」を踏まえたうえで、3C分析や戦略設計に進むことです。また、自社の業種・業態にとって有利に働く外部情報を整理できる点も、大きな利点の一つです。マクロ視点で環境を整理することで、自社の強みがどこで活きるのか、どこに投資すべきか、そしてどの顧客に価値を届けるべきかが、より明確になります。
ブランドは、決してビジネスの視点だけで完結するものではなく、社会の文脈とともに成立します。だからこそ、戦略を考える前に、外部環境に目を向ける必要があります。戦う前に“戦う土俵”を見定めることこそが、選ばれるブランドづくりの出発点になるのです。次回は、「PEST分析」を用いたマクロ環境分析について掘りさげていきます。どうぞお楽しみに。
つづく
プロフィール
Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。
TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。
・ 「東京ビジネスデザインアワード 2024」 テーマ賞受賞
・ 特許庁(独:INPIT)認定 デザイン専門家/ブランド専門家
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員
・ 東京都中小企業振興公社 デザイン経営スクール 第5期修了
《 ブランディング・サービス 》
・中小企業の「強み」を活かした新製品やサービスの開発サポート
・企業のブランドストーリーをカタチに 「ものがたりブランディング®」
・ブランディング入門サービス「3ステップ・ブランディング」
・ブランディング講座(入門コース/ベーシックコース)開催
・オンラインでのご相談も承ります。お気軽にメールにてご連絡ください。
【連絡先】
〒105-0014 東京都港区芝2-12-9 波ビル3F
hello@toyplot.jp
https://toyplot.jp

