みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了されてから、今年で11年目となりました。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして活動しています。
前回 Vol.19では、「ビジョン」「ミッション」に続いて、日々の行動を支える基準となる「バリュー」についてお話しました。今回はその続きとして、掲げたバリューをどうやって組織に浸透させ、行動として定着させるかに焦点を当てていきます。できるだけ、自分らしく、わかりやすくお伝えできるように心がけました。お読みいただけると嬉しいです。
なぜ「バリュー浸透」が必要か
バリューとはまさに「日々の判断・行動を支える価値観」です。これが組織に定着することで、ビジョンやミッションが“言葉で終わるもの”ではなく、“実践されるもの”へと変わります。言い換えれば、バリューの浸透こそが「理念が現場で生きる」ための鍵です。
とくに中小企業では、経営者の想いやトップの姿勢が組織文化に直接影響しやすいため、バリューを共有し、日常化することが組織力・ブランド力の基盤になります。
バリュー浸透の3つのステップ
以下のステップを通じて、バリューをただ掲げるだけでなく、“体現される価値観”へと高めていきましょう。
ステップ1:言葉を明文化する
まずは「私たちはどんな価値観で行動するか」を明確な言葉にします。たとえば、「誠実であろう」「チャレンジを楽しもう」「仲間を想おう」など、具体的な行動指針です。経営者・幹部・現場担当者が一緒に言葉をつくることで、“自分たちらしさ”が言語化されます。
ステップ2:共有・日常化する
明文化したバリューを組織のコミュニケーションに組み込みます。社内掲示、朝礼、会議の冒頭、メール署名、評価制度など、あらゆる場面で「この価値観に立ち返る」機会をつくることがポイントです。接触機会が増えるほど、行動は変わりやすくなります。そのため、バリューとのタッチポイント設計が重要になります。
ステップ3:行動・判断の基準として使う
バリューは「良い言葉」で終わらせず、「この状況ではどう動くべきか」の判断軸として機能させることが大切です。たとえば、「この提案は“仲間を想い、ひとつになろう”という価値観に沿っているか?」と日常業務で問い直す。バリューが行動の基準になると、組織に“ぶれない判断”が生まれます。
実践時によくある壁と対応策
壁1:言葉が“掲げただけ”で終わる
経営者が“良い言葉”を掲げても、現場で使われなければ意味が薄れます。
対応策:まず経営者自身が掲げた言葉を使い、日々の行動で示す。そして、どんなに小さな行動でも「記録し、共有し、振り返る」を積み重ねる。
壁2:価値観が抽象的すぎて判断軸にならない
あまりに大きすぎる言葉は、日々の判断に落としにくいものです。
対応策:バリューを“この会社らしい行動例”まで具体化する。
例:株式会社ローソン「ローソン WAY」(Vol.19)
壁3:浸透が一過性で終わる
最初だけ盛り上がり、その後“元の状態”に戻ってしまうケースが多く見られます。
対応策:月に一度、会議などで「バリューが行動として現れた瞬間」を共有し、定期的に見直す場をつくる。

「行動」として社内に定着することが重要
バリューは「共有して終わり」ではなく、「行動として表現される」ことが本質です。どれだけ素晴らしい言葉でも、現場で使われなければ、それはただの“飾り”になってしまいます。中小企業ではとくに、経営者の想いが現場の判断に直結しやすいため、「言葉をどう動かすか」が鍵になります。バリューが定着しているかを定期的に振り返り、メンテナンスすることも欠かせません。合わせて、社員が行動しやすい“仕組みや環境”を整えることも重要です。
バリューが「文化」へと育つとき
バリューが行動に定着すると、社内の判断や顧客対応に“ぶれない軸”が生まれます。やがてそれは自然と共有される文化となり、採用・育成・ブランド発信すべての根幹を支えるようになります。文化とは、繰り返された行動の積み重ねから生まれるもの。言葉が行動になり、行動が文化に変わる。そこにこそ、ブランドの強さが宿ります。
さて、これまで「ビジョン」「ミッション」「バリュー」についてお話ししてきました。いかがだったでしょうか?もしかすると、「自分たちには関係ない」「大企業やスタートアップの話だ」と感じていた方もいるかもしれません。
しかし、時代の変化が速く、予測が難しい今だからこそ、組織の行動と言動を整える“軸”として、中小企業にこそ「ビジョン」「ミッション」「バリュー」は不可欠です。変化が激しい時代ほど、その軸があるかないかで差がつきます。
なにも難しく考える必要はありません。正解もありません。自分たちらしく、お客様や地域に喜ばれる活動を続けていくための、大切な取り組みなのです。まずは気軽に始めてみることで、必ず新しい景色が見えてくるはずです。
つづく
プロフィール
Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。
TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。
・ 「東京ビジネスデザインアワード 2024」 テーマ賞受賞
・ 特許庁(独:INPIT)認定 デザイン専門家/ブランド専門家
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員
・ 東京都中小企業振興公社 デザイン経営スクール 第5期修了
《 ブランディング・サービス 》
・中小企業の「強み」を活かした新製品やサービスの開発サポート
・企業のブランドストーリーをカタチに 「ものがたりブランディング®」
・ブランディング入門サービス「3ステップ・ブランディング」
・ブランディング講座(入門コース/ベーシックコース)開催
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