みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。
2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了され、その日からブランディングについての探求をはじめて今年で11年目となりました。
大げさな自己紹介をしましたが、とくに研究者というわけではありません。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして企業の想いをお客さまへ伝えるお手伝いをしています。
今回は、前回お話しした「競合分析」の中にも出てきた「間接競合」についてお話しします。大手企業と比べて規模の小さい中小企業は、競争を避け「戦う」のではなく、「差別化する」ことが重要だとお話ししました。そこからさらに深掘りして、競合を分析する際に「間接競合」にも注目することで、新たな視点から独自の製品やサービスを開発することが可能となります。
「間接競合」とは、同じ業界ではないが、同様の消費者ニーズを満たす別の手段を提供する企業のことを指します。例えば、町の飲食店が「コンビニのお弁当」や「フードデリバリー」と競争しているように、業界を超えた競争環境が広がっています。では、中小企業が「間接競合」から学び、独自の新製品やサービスを生み出すために必要なことを整理してみましょう。
「間接競合」から学び、独自の新製品やサービスを生み出すために必要なこと
「間接競合」という視点を持つことで、新たな発見や差別化のヒントを得ることができます。異なる業界から情報を収集することで、従来にはない発想を活かした、多様な新製品やサービスの開発が可能になります。
顧客の「ニーズ」を深く理解する
「間接競合」の成功事例を研究する際は、単にそこが「何を売っているか」ではなく、「なぜ消費者がそのサービスを選ぶのか」に着目することが大切です。
例えば、学習塾が「YouTubeの無料学習コンテンツ」と競争する場合、顧客は「知識を得ること」だけでなく、「モチベーションを維持したい」や「分からない問題をすぐに質問したい」といった別の価値を求めている可能性があります。このようなニーズに対する深い理解が、新しいサービス開発のヒントになります。
異業種のビジネスモデルを応用する
異業種で成功しているビジネスモデルを自社に応用することで、独自のサービスを生み出すことができます。たとえば、飲食店がフィットネスジムなどの「サブスクリプションモデル」を取り入れることで、定額制のプレミアム会員制度(月額数百円でドリンクの割引など)を導入し、再来店のモチベーションをつくり、売上の安定化を図るといった戦略が考えられます。
デジタル活用とマーケティングの強化
こちらは「間接競合」だけではなく、今や成長している企業の多くはデジタル技術を活用し、オンラインでの顧客接点などを増やしています。業種業態にとらわれず中小企業もデジタル化を取り入れることで、新製品やサービスの開発に役立てることが可能となります。
「競争」ではなく「共創」の視点を持つ
「間接競合」を単なるライバルとして捉えるだけでなく、コラボレーションの可能性を持つパートナーと捉えることも大切です。例えば、町工場などのモノづくり企業がプロダクトデザイナーと組みオリジナル製品を開発したり、IT企業と組んで伝統的な技術 × DXで新しい製品を開発するなどの戦略が考えられます。

このように、「間接競合」という視点を持って新製品やサービスの開発に取り組むことで、従来にはない着眼点や発想が生まれ、自社の強みや特長を活かした独自性のある製品やサービスを創出することが可能になります。
「小さく」「素早く」、中小企業の強みを活かせる開発方法
しかし、ここで問題になるのが中小企業に共通する課題として、予算や人的リソースの不足が挙げられます。この課題を解決するために有効な方法の一つが、「小さく試し、素早く改善する」アジャイル開発です。大企業のように十分な予算や人材を確保するのが難しい中小企業では、新しい製品やサービスを開発する際、最初から完璧な状態を目指すのではなく、小規模で試しながら迅速に改善を重ねることが重要です。
例えば、小規模な展示会に出展して顧客の反応を確認する、身近な市場でテストマーケティングを実施するといった形で、まずは可能な範囲で試作や検証を行うことが効果的です。このように、限られたリソースの中で柔軟に試行錯誤を重ねることで、より実践的で成功しやすい新製品やサービスの開発につなげることができます。
また、ものづくり企業の場合、予約販売形式でクラウドファンディングを実施することで、市場のニーズを把握しながら資金調達を行い、低リスクで製品開発を進める方法も有効です。
いかがでしょうか?「競合」や「間接競合」という視点を持つことで、独自性のある新製品やサービスを生み出すことの重要性をご理解いただけたでしょうか?
中小企業の成長には、自社の強みを活かした製品やサービスの開発が欠かせません。これまでの常識や当たり前が急速に変化する現代において、積み重ねてきた実績や技術など社内だけに目を向けるのではなく、広い視野を持ち、市場の動向を的確に捉えながら自社のブランドを成長させることが重要です。
その為には業種業態に関わらず、普段からどんなブランドがお客様に選ばれているのか?選ばれる理由は何か?という視点を持つことが大切です。
つづく
プロフィール
Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。
TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。
・ 「東京ビジネスデザインアワード 2024」 テーマ賞受賞
・ 特許庁(独:INPIT)認定 デザイン専門家/ブランド専門家
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員
・ 東京都中小企業振興公社 デザイン経営スクール 第5期修了
《 ブランディング・サービス 》
・中小企業の「強み」を活かした新製品やサービスの開発サポート
・企業のブランドストーリーをカタチに 「ものがたりブランディング®」
・ブランディング入門サービス「3ステップ・ブランディング」
・ブランディング講座(入門コース/ベーシックコース)開催
・オンラインでのご相談も承ります。お気軽にメールにてご連絡ください。
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