ホーリーの選ばれるブランディング #6

毎月第4週の木曜日に発信

この会社の特徴

みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。
2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了され、その日からブランディングについての探求をはじめて今年で10年目となりました。
大げさな自己紹介をしましたが、とくに研究者というわけではありません。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして企業の想いをお客さまへ伝えるお手伝いをしています。

今回は、Vol.5でご紹介した「知覚品質」のおはなしです。
「知覚品質」はブランド・エクイティ( Vol.5 をご参照ください )を構成する要素の一つで、ブランディングの中でも価格決定に大きな影響を与える(知覚価値の源となる)大事なポイントです。個人的にも興味深いポイントだと感じています。

知覚品質とは

「知覚品質」とは、お客様が購入する際にその目的や他社商品と比較した時に「知覚」できる品質や性能(優位性)のことを指します。またそれは、企業側が把握している事実としての品質ではなく、実際にお客様(顧客側)が認知している品質のことを言います。ラフな言い方をすると顧客側が「個人的に感じている価値」とも言えます。

例えば車であれば、知覚品質は、次のような視点で総合的に判断される。

・パフォーマンス(加速性、操縦性、安全性、速度、快適性など)
・付加機能(オプションなど)
・信頼性(不良品・欠陥品、故障の少なさなど)
・耐久性(強度、丈夫さなど)
・付加サービス(アフターサービス、保証など)

知覚品質に関して注意したい点として、第一に、たとえ同じ消費者であっても、ある用途やシーンで価値のある知覚品質が、他の用途やシーンでも同様に価値があるとは限らないという点がある。

次に、実際に品質が優れていることと、品質の良さが知覚されることは同義ではないことにも注意すべきだ。例えば、ホウレン草などの野菜は「生のほうが冷凍品よりも栄養価が高い」などと思っている人は多いだろうが、実際には、冷凍野菜は収穫後すぐに加工、凍結されるので、流通や保存段階で失われるビタミンC量は少ない。

最後に、ポジティブな知覚品質をブランドに帰属させるためには多大な努力と時間がかかるのに対して、ネガティブな知覚品質はあっという間に浸透し、ブランドの評価を押し下げてしまう点にも留意しておきたい。たとえ不良品率や故障率が競合他社と比べて低かったとしても、消費者にとって1つ買ってそれが故障すれば、それは100%の故障率となる。

(出典:グロービス経営大学院 MBA用語集)

お客様が商品やサービスに対して抱く価値

「知覚品質」の興味深いポイントは、商品やサービスが持つ実際の価値(品質や機能など)ではなく、ブランドイメージや社会的な影響、個人的な経験など、さまざまな要素から形成された、個々のお客様がそれぞれに感じる主観的な価値であることです。

例えば、多くの人はレクサスという車を所有しているわけではありませんが、高級であることや高品質であるという「知覚品質」を持っています。ですが、実際のエンジンの排気量や性能、ボディの剛性の高さなど具体的な「品質」は説明できません。これが「品質」と「知覚品質」の違いです。

その他にも、掃除機のダイソンは、「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」というCMのキャッチフレーズと見た目の斬新さも相まって、具体的な性能は分からなくとも多くの人が「高性能な掃除機」という「知覚品質」を持っています。私もその一人で、こちらは後に実際に掃除機を購入しました。

また、BtoC企業だけでなく、BtoB企業における「知覚品質」も、基本的には同じ考え方です。つまり、取引先の企業が製品やサービスに対してだけでなく、総合的にどれだけの価値を感じるか、ということです。

業種や業態にもよりますが、具体的には、

コスト:コストに見合った効果
技術力・専門性:高い技術や専門的な知識
品 質:製品やサービスの性能や信頼性
サポート:導入後のサポートやアフターサービスの充実度
信頼性:企業の評判や過去の実績
長期的な関係性:取引先との関係の構築や信頼感

などです。これらの要素を通じて顧客の「知覚品質」を高め、競争優位を築くことが重要となるのです。
例えば、日々の取り引きの中で丁寧な提案やサポートを行うことで、取引先に「この企業と取り引きする価値がある」と感じてもらい「知覚品質」の向上を目指すということです。

企業にとって製品やサービスの「品質」そのものの向上も重要ですが、そればかりに囚われず「知覚品質」の向上に目を向けることは重要なポイントだと考えます。また少し視点を変えてみると企業の採用活動にもきっと役立つ価値を生むとも考えます。

つづく

プロフィール

Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー 
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。

TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。

・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員

《 ブランディング・サービス 》
・企業のブランドストーリーをカタチに 「ものがたりブランディング®」
・ブランディング入門サービス「3ステップ・ミニマム ブランディング」
・ブランディング講座(入門コース/ベーシックコース)開催
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