ホーリーの選ばれるブランディング #4

毎月第4週の木曜日に発信

この会社の特徴

みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。
2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了され、その日からブランディングについての探求をはじめて今年で10年目となりました。
大げさな自己紹介をしましたが、とくに研究者というわけではありません。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして企業の想いをお客さまへ伝えるお手伝いをしています。

今回は、少しマーケティング寄りのおはなしです。
みなさんは「バーガーキング」というハンバーガーチェーンをご存知でしょうか?
日本のハンバーガー市場で急成長をとげている「バーガーキング」は、現在全国に221店舗。業界首位のマクドナルドの2978店舗には遠く及びませんが、売り上げは4年連続で増加しており、2024年は300億円を突破する見込みだそうです。
(※上記店舗数は、2024年3月末の数字)
2024年5月23日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)でも、その急成長ぶりが伝えられ、中でも賛否を生む斬新なメニューとユニークな広告展開が特集されました。
目次

あえて対立構造をつくることでマーケットでポジションを獲得する

知っている方もいると思いますが、2020年1月31日にマクドナルド「秋葉原昭和通店」が閉店することになった際、2軒隣のバーガーキング「秋葉原昭和通り店」が出した店頭広告のポスターがSNSを中心に大きな話題となりました。

マクドナルド「秋葉原昭和通店」の出した広告にあえて似せたこのポスターには、Thank you と頭を下げる店員のビジュアルとライバルのマクドナルドへの感謝の思いがつづられています。
しかし、文章の1文字目を縦に読んでいくと「私たちの勝チ」の一文が…。そこにはマクドナルドは閉店に追い込まれてしまったけれど、これからも営業を続ける「私たちの勝チ」ですね、という勝利宣言とも言える不敵なメッセージが織り込まれていました。

出典:Kasane Nakamura /Huffpost Japan


こういった広告はいわゆる「比較広告」と呼ばれる表現手法で、米国ではよく見かける広告コミュニケーションです。1980年代には、ペプシによるコカ・コーラに対する味覚テストなどを使った広告が話題を集めました。しかし、その後は比較するというより「トップへの挑戦(チャレンジ)」へと変化していきました。
日本では消費者庁による比較広告に対する規制もあり、大手企業のCMなどで見かけることはほとんどありません。また、日本人が他社製品を貶める表現手法を好まないとも言われてきました。

ですが、ブランディングの視点から見ると、このバーガーキングのマーケティング手法はとても有効な手段のひとつとされています。実はこれ、業界ナンバーツーを狙う際の「対立の法則」が使われているのです。

あなたがしなければならないことは、ナンバーワンのエッセンスを見つけだし、顧客にそれと反対のものを提供することである。(言い換えれば、相手の上を行こうとしないで、相手との差別化を図るのである。)これが、しばしば見られる伝統企業 対 新興企業の図式である。

〜 中略 〜

ある特定の商品カテゴリーの顧客層をみると、およそ二種類の顧客に大別できる。ナンバーワン商品を買いたがる層と、逆に買いたがらない層とである。ナンバーツーをうかがう会社は、後者に呼び掛けなければならない。
《 第9章「対立の法則」一部抜粋 》

出典:「売れるもマーケ当るもマーケ マーケティング22の法則」アル・ライズ/ジャック・トラウト 共著


バーガーキングの場合、あえて業界一位のマーケット・リーダーであるマクドナルドと比較し挑戦することで、マクドナルドが持つ強大なブランドイメージのパワーを利用して世の中にその存在を知らしめ、一定数いるとされるマーケット・リーダー(この場合はマクドナルド)を買わない層の顧客を取り込むことに成功したのだと言えるでしょう。

そんなバーガーキングの「バズるを狙った“賛否両論”戦略」は、リスクもあるかなり特殊な事例なので真似はオススメできません。ですが中小企業のインナーブランディングを行う際、マーケット・リーダーに「挑戦する姿勢」を持ち込むのは社員のやる気をアップさせるには効果的かも知れません。また、それらが社内で受け入れられ定着してくれば、その後の採用活動にも良い影響を与えてくれるのではないかと考えます。

つづく

プロフィール

Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー 
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。

TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。

・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員

《 ブランディング・サービス 》
・企業のブランドストーリーをカタチに 「ものがたりブランディング®」
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