有限会社オートアロウは多摩エリアに根差した自動車販売店です。創業から25年、軽自動車をメインに扱うことで地域の方々からの支持を得つつ成長を遂げ、現在は「あきる野本店」と「16号瑞穂店」の2拠点で展開しています。今回募集しているのは「営業職(カーライフアドバイザー)」「自動車整備(メカニック)」「受付・接客・事務」の3職種です。
企業情報: 有限会社オートアロウ
事業概要:自動車販売、自動車整備
住 所:あきる野市・瑞穂町
代表取締役:矢口 完
自動車販売店「オートアロウ」のあきる野本店、お客様との商談を行う事業所の一角には駄菓子屋さんがあります。
自動車販売店として営業するオートアロウ。お客様との商談を行う事業所の一角には駄菓子屋さんがあります。ラックには数十円で買えるお菓子が楽しげに並んでいます。この駄菓子屋さんは、家族連れで商談に来られた場合、お子さんたちがここで好きなお菓子を選んで買うことができるようにと作られました。提案したのは営業の山本さん。社長から「会社を良くするために必要なことなら何でもやっていい」と言われ思いついたことをカタチにしてみたのだそうです。もともと、来店してくれたお子さんにはお菓子詰め合わせを渡していたそうなのですが、山本さんの頭に浮かんだのは「食べたいお菓子を自分で選ぶ方が楽しいのではないか」ということ。そこで、山本さんは駄菓子屋さんを導入することを矢口社長に提案し、実現させたのです。
「お子さんが自分でお菓子を選ぶことで待ち時間を楽しく過ごすことができます。またお菓子を選ぶお子さんをスタッフがサポートすることで、お客様は当社のスタッフに安心感を覚えていただけます」。
車を販売する中で、どうしたら快適に、お客様やご家族にストレスなく自動車販売店を利用していただけるか。駄菓子屋さんは、決して大がかりな施策でないかもしれませんが、お客様のことを考え自分たちができることを、という発想から生まれた施策です。それを社員の方が楽しみながら実行しているということから、オートアロウという会社の風通しの良さが分かります。
ちなみに、この駄菓子は社員も買うことができ、疲れたときや小腹が空いたときにも一躍買っているのだとか……。
高校を早めに“卒業”して、職を転々…。マンションの一室から「経営者」として始めた会社・オートアロウ
社員に「なんでもやっていい!」と伝え、自主性を尊重した社風を醸成しているオートアロウの代表・矢口完さん。どのような道のりを歩んできたのでしょうか。
若き日の矢口さんは、高校入学からわずか2カ月で辞めたのち、職を転々としていました。「学校は辞めたけど、仕事だけはしなくちゃいけない」という思いがあったため、建設関係・販売、なんでもやりました。16歳で会社を作ったことも……。プライベートでは当時の若者らしく、バイクに乗って仲間とつるんでいたそうで「仕事も遊びもよくやった」と話します。
矢口さんが中古車業界に足を踏み入れたのは24歳の頃。結婚を考えており安定した職につきたいと考えていた矢口さんに、地元の先輩が「いっしょに仕事をしないか」と持ち掛けてきました。時は平成の初頭、中古車販売業は黎明期、面白そうだと思った矢口さんはその話に乗りました。新しい仕事は、20代前半の矢口さんに当時にしてはそこそこ良い額の給料をもたらし、新婚生活を支えてくれ、新居購入の足掛かりにもなりました。
それから6年、中古車販売に対する知識を得て、仕事にやりがいを覚えていた頃、給与の支払いが遅くなり「おかしいな」と、思うことがありました。知らぬ間に会社が経営不振に陥っていたのです。やがて倒産。経営面に口出しするような立場にはなかったため、矢口さんにはなすすべもありませんでした。
職を失った矢口さん、当初は会社員としてどこかに勤めようかと考えましたが、条件に見合う働き口はなかなか見つかりませんでした。矢口さんは自ら中古車販売業を立ち上げることにします。当時、子どもも生まれたばかり。生活費や住宅ローンを考えると「やるしかない」という気持ちがありました。
在庫も、事務所も、そしてお客さんもない、矢口さん曰く「全くの“ゼロ”」。
しかし「ゼロから始めるから怖いものは何もない」と捉えることもできました。
平成三年、マンションの一室で、オートアロウは産声を上げました。
中古車販売の黎明期から30年「喜びと幸せを乗せて地域(まち)の笑顔を創り出す」
数年間の経験で中古車販売業のノウハウは頭に入っていましたが、起業して思い知ったのはこの業界は「個人でやったら稼げるという業界でもない」ということでした。
「まず、ちゃんとしたお店を構えてないといけない。店がないと知り合いも紹介してもらえないんだよ。この人のところで買うといいよ、なんて言ってくれても説得力がない」。
いくら、矢口さんにやる気と業界知識があっても、車を買いたい人に信用してもらえなければ、購入につなげることは難しい……。自ら「やるしかない」と起業したにもかかわらず、土俵にすら上がれないことに歯がゆさを覚えながらも「こうしちゃいられない」と矢口さんは再び奮起。
前職のつて、地元の友人、とにかくありとあらゆる人脈を辿り、矢口さんは車を買ってくれる人を探します。また、それだけではなく、業者から業者への販売仲介(現在は行われていない)も手がけ、少しでも利益を出そうと奔走します。
2年間「マンションの一室」に事業所を構えたのち、平成5年には現在本社があるあきる野市に中古車販売店をオープン。平成11年には瑞穂町にも開業しました。
「本当にありがたいわけ、お客さんがいるっていうのはね。何もないところから始まってるから、もうお客さんがすごい大事なわけ」。
今でも、マンションに事業所を構えていたときのことを思い起こすと、そんな言葉が出てくる矢口さん。その気持ちを忘れないままオートアロウを育て続け、現在2拠点で従業員20名を抱える会社に発展しました。
令和6年の社訓は「喜びと幸せを乗せて地域(まち)の笑顔を創り出す」
それを果たすべく、オートアロウでは経営面の安定だけでなく、地元に根差した企業となるべく、町内の清掃活動に参加したり、住民の皆さんに楽しんでもらえるようなお祭りも企画運営します。
周辺の住民の皆さんにお役に立ちたいと、洗車券を格安で周辺住民の方に販売し、時には社長自ら自転車のパンク修理に駆けつけることも……。矢口さんは、オートアロウという会社が地域の人に支えられ、お客様あっての企業であると痛感している「人情系社長」なのです。
お客様から「必要な情報が得られた」と評価をいただく
オートアロウには個人・法人問わず、様々なお客様が来店しますが、特色は「軽自動車」をメインに取り扱っていること。
きっかけは、軽自動車の箱型バンを展示場の一画に数台置いていたところ、沿道を使う業者さんの目に留まり「箱型バン」の引き合いが増えため、今に続いています。業者さんからは「軽箱専門店」と認知されています。
また、ファミリーカーを求めて来店する近隣のお客様も多いです。開業当初に比べ女性が増え、今では男女比率が半々に上るそうです。
オートアロウのお客様の傾向は、「仕事・生活の足」としての車を必要としているということ。そのため、営業スタッフは車好きでなくても構わないそうです。必要とされるのは、お客様に寄り添い、ヒアリングを重ね、そのお客様に本当に必要なものをキャッチできることです。
その方針がスタッフ一人ひとりに浸透しているのか、お客様からは「他店では話が通じないこともあったが、ここに来たらきちんと話を聞いてもらえて、必要な情報も得られた」といった言葉をいただくこともあります。
「一人ひとりが自分と向き合う」営業力・技術力以前に必要なこと
個人・法人問わず「足」としての自動車をお求めになるお客様に対応するために必要な要素とは何なのでしょうか? またどのように従業員の皆さんに身に着けてもらいたいと考えているのでしょうか? 業界歴30年の矢口さんが導き出した答えは知識や技術ではなく、意外にも「一人ひとりの人間力を高める」ということでした。
人それぞれ得意なことは違います。性格を変えることもできません。そう考えると顧客対応を画一的に定め、従業員全員に一律に求めることは非常に無理のあることです。
「十人十色だから、性格は。同じようにはならない」
そこで取り入れているのは、従業員一人ひとりが自分と向き合い「いったい自分は何を大切にしているのか。何を喜びとして生きているのか。これまでの人生でどのような歩みを経てどのような価値観にあるのか。」といったことを自問自答してもらうことです。自分の経験や思いを言語化することは、お客様の気持ちや大事にしていることに思いを巡らせることにつながるからです。
一朝一夕でできることではありませんが、自分と向き合う機会を朝礼などに採り入れ、コンスタントに続けていくことで、社員の人間力向上を図っています。
オートアロウでは、社員が自分と向き合うことを大切にしているからこそ、のびのび働くことができ、冒頭でお伝えした「駄菓子屋さん」のように自分のいる環境である職場をより良くするための施策も生まれるのでしょう。
仕事を通じて、自分を磨き、成長させる。オートアロウで人情系社長や温かい仲間とともに、自分にとことん向き合いながら仕事をしてみませんか?