#12 うちの会社も賃上げは必要?人材確保につなげる賃上げのポイント

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TAMA WORKをご覧の皆さん、こんにちは。採用定着士/社会保険労務士の高木です。
「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションとして、多摩地域を中心とした中小企業のサポートをさせていただいております。
この記事では「せっかく採用したのに…を防ぐ!社員が定着する職場づくりのポイント」と題して、
「採用はできたが、すぐ辞めてしまう・・・」
「定着率を上げたいが、どうしたらよいかわからない・・・」
といった人材定着にお悩みを持つ中小企業経営者、人事担当者、管理職の皆さんに役立つ内容を連載でお届けしています。
第12回目は「うちの会社も賃上げは必要?人材確保につなげる賃上げのポイント」についてお伝えします。



はじめに

前回(第11回)は、「頑張った社員に報いていますか?評価を活かす賃金制度のつくり方」と題して、評価制度と賃金制度をセットで設計・運用する重要性についてお伝えしました。

評価制度や賃金制度を整えていく中で、経営者から次のような声を聞くことがあります。

「制度は整えたが、そもそもの賃金水準が世間より低いのではないか」

「最近よく聞く“賃上げ”に、うちも対応しないと社員が辞めてしまうのではないか」

そこで今回は、『賃上げ』をテーマに、中小企業が現実的に取り組むためのポイントをお伝えします。

1.賃上げとは何か

まず、「賃上げ」とは何を指すのかを整理しておきましょう。

賃上げは、大きく次の2つに分けて考えられます。

一つ目は、賃金改善です。

これは賃金水準そのものを引き上げる取り組みで、いわゆるベースアップ(ベア)や、各種手当の新設・増額などが含まれます。物価上昇への対応や、人材確保を目的として行われることが多いのが特徴です。

二つ目は、定期昇給です。

年齢や勤続年数、評価結果などに基づいて行われる昇給で、従来から多くの企業で制度化されています。ただし、定期昇給は「本来予定されていた昇給」と捉えられるため、世間一般では賃上げとは区別して扱われることも多いです。

2.賃上げを経営戦略として捉える

中小企業にとって賃上げは、決して簡単な判断ではありません。

賞与と違い昇給は固定費の増加であり、安易な賃上げは経営を圧迫するリスクもあります。

だからこそ重要なのは、賃上げを「流行への対応」や「場当たり的な対応」として行うのではなく、経営戦略の一部として位置づけることです。

貴社の賃上げの目的は何でしょうか。

・採用力を高めたい
・若手の離職を防ぎたい
・特定の職種・役割を担う人材を確保したい

目的が違えば、賃上げのやり方も変わります。

全社員一律で上げる必要はありませんし、逆に、上げるべきところに手を打たなければ、賃上げをしても人材確保にはつながりません。

前回までの連載でお伝えしてきたとおり、評価制度や賃金制度は「社員にどう行動してほしいか」を示す仕組みです。賃上げも同様に、どんな人材を大切にし、どんな層を強化したいのかというメッセージを伴う施策であるべきです。

3.中小企業を中心とした最近の賃上げ動向

最近の調査を見ると、中小企業においても賃上げが進んでいます。

厚生労働省の「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」では従業員100~299人企業の平均は賃上げ額10,264円、賃上げ率は3.6%でした(賃上げには定期昇給も含みます)。ベースアップを実施した企業も半数を超えています。

他の調査でも賃上げを「実施した、または実施予定」と回答した中小企業は6割前後に達しており、その理由として最も多く挙げられているのが「人材の確保・定着」です。

「賃金を上げなければ採用できない」「若手が定着しない」といった危機感は、業種を問わず広がっています。

4.賃上げの実務ポイント──まずは現状分析から

賃上げを検討する際、最初にやるべきことは何でしょうか。それは、「いくら上げるか」を考えることではありません。自社の賃金の現状を正しく把握することです。

具体的には、次の2つの視点が欠かせません。

一つ目は、世間相場との比較です。
同業種・同規模の企業と比べて、自社の賃金水準は高いのか、安いのか。
特に初任給や若手層の月給は、採用の可否に直結します。

二つ目は、社内バランスの確認です。
年齢、勤続年数、役割、職種などによって、不合理な逆転や歪みが生じていないか。
過去の場当たり的な昇給や手当の積み重ねにより、説明しにくい賃金構造になっているケースも少なくありません。

この現状分析を踏まえたうえで、
・どの層に
・どの程度の賃上げを行うのか
を検討していきます。

若手の採用が課題であれば若手層を重点的に。
特定職種の定着が課題であれば、その職種にメリハリをつける。
限られた原資だからこそ、「全員一律」ではなく、狙いを定めた賃上げが重要になります。

なお、当社ではこのような検討の第一歩として、賃金診断を無料で実施しています。
世間相場との比較や社内バランスを客観的に整理し、「どこに手を打つべきか」を明確にすることができます。

まとめ

賃上げは、もはや一部の企業だけの話ではありません。

人材確保が経営課題となっている今、中小企業にとっても避けて通れないテーマです。

ただし、重要なのは「賃上げをすること」そのものではなく、

自社の現状を把握し、目的を明確にしたうえで、どのように賃上げを行うかです。

戦略的な賃上げが良い人材の確保につながります。

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プロフィール

社労士事務所CRAFT 代表
採用定着士/特定社会保険労務士 高木 厚博(たかぎ あつひろ)
1974年大阪生まれ。私立清風高校、関西大学法学部卒業。大手外食企業にて、店舗管理等を経験。

退職後バイトをしながら試験勉強をし、社会保険労務士試験合格。地域最大級の社労士事務所に勤務。約15年勤務したのち2019年11月独立開業。顧問先企業の人事・労務の課題解決に取り組む一方、「採用と定着で中小企業の発展を支援する」をミッションに、採用支援、賃金制度・評価制度構築、「パワハラ予防研修」や「承認力向上研修」などの社内研修で中小企業の社員の定着・育成を支援している。

金融機関、商工会議所主催セミナーなど講演実績多数。パワハラ予防士。承認ファシリテーター。

著書「うちはいい会社です!と社員から言われる就業規則25のチェックポイント」(共著、泉文堂)。
NHK総合テレビ「おはよう日本」『103万の壁 企業の足かせ』出演。
好きな飲み物:よなよなエール 好きな食べ物:天下一品こってり

【連絡先】

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