#21 中小企業が打ちだす自社の「強みの言語化」の重要性

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みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了されてから、今年で11年目となりました。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして活動しています。

今回は、昨年も訪れた「産業交流展2025」(2025年11月26日(水)~11月28日(金)東京ビッグサイト西展示棟にて開催)に伺ったレポートを踏まえて、中小企業が打ちだす自社の「強みの言語化」の重要性についてお話ししたいと思います。



産業交流展2025についてはこちらをご覧ください。

デザイン経営スクールの学びが“実装”された瞬間 ― 産業交流展2025での再会

今回の産業交流展2025を訪れた主な目的は、私が今期インストラクターとして携わった「デザイン経営スクール」の昨年度修了生による新製品が、東京都中小企業振興公社のブースで展示されていたためです。
デザイン経営スクールは、中小企業の事業者と各種デザイナーがペアを組み、新製品・サービスの事業化を模擬体験しながら学ぶ実践型プログラムです。
多くの場合、スクール内での事業発表をもって一区切りとなりますが、なかには修了後も取り組みが継続され、実際の事業として展開されるケースもあります。今回展示されていた製品は、そうした稀有な事例の一つでした。

合同展示のため産業交流展の公式HPには詳細が掲載されていなかったため、発表された新製品の情報は以下をご参照ください。

「コケヌル」オフィシャルサイト(日研株式会社)
https://nikken-k.org/kokenul/
■プレスリリースhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000172111.html

また同日、東京都中小企業振興公社「事業化チャレンジ道場」のブースでは、

・耳が聞こえにくい高齢者とのコミュニケーションに役立つ小型スピーカー
・香りの企業が提供する、香りを当てるゲーム形式のトレーニングツール

など、発想や社会性の面で興味深い新製品・サービスも出展されていました。

「強み」が伝わっていないという共通課題

そんな中、会場を回る中で強く感じたのは、「製品そのものはとても良いのに、強みが来場者に十分伝わっていない」という共通した課題でした。

展示されていた製品やサービスの多くは、
・技術的な裏付けがある
・明確な社会課題に向き合っている
・開発背景や想いも筋が通っている

にもかかわらず、ブース前で足を止めた来場者が説明を受けても理解しきれず、「結局、何がすごいのか」「他と何が違うのか」と、こちらから問いかけて初めて価値が伝わる場面が少なくありませんでした。

これは決して珍しい話ではなく、むしろ中小企業の製品開発で頻発する構造的な問題だと感じます。

強みを打ち出した「アイデア」はあるが、「言葉」が足りていない

多くの事業者は、自社の強みを活かした開発をしています。
今回の展示でも、
・特定の利用者に深く寄り添った設計
・長年培った加工技術や知見
・他業界にはない視点からの着眼
といった“中小企業ならではの価値”が随所に見られました。
しかしそれらは、製品の中に埋め込まれたままになっているケースが多いのです。

来場者が最初に目にするのは、
・製品名
・キャッチコピー
・説明パネルの数行
この数秒〜数十秒で伝わらなければ、どれほど良い強みも「気づかれない価値」になってしまいます。

言語化のコツは「全部説明しない」こと

強みを言語化しようとすると、つい技術、機能、想い、背景をすべて盛り込みたくなります。しかし展示会や営業の現場で必要なのは、理解ではなく“入口としての納得”です。

言語化のコツは、次の3点に集約されます。

  1. 誰のための製品かを先に言う
    (万人向けではなく、最も価値を感じる人を明確に)
  2. 一番の違いを一つだけ選ぶ
    (複数ある場合でも、最初に伝える軸は一つに絞る)
  3. 機能ではなく変化で語る
    (「何ができるか」より「どう変わるか」)

この3点が揃うと、来場者は「自分に関係あるかもしれない」と一歩踏み込んでくれます。

言語化は、事業者側にも大きなメリットをもたらす

強みを言語化するメリットは、来場者に伝わることだけではありません。
・説明がブレなくなる
・社内や外部パートナーと共通認識を持てる
・次の改良や展開の判断軸が明確になる
特に展示会終了後も事業を継続していくフェーズでは、「何を伸ばし、何を削るか」を判断する場面が増えていきます。
強みが言葉になっていないと、判断はどうしても感覚や場当たり的になりがちです。

強みは、伝わって初めて“経営資源”になる

今回の産業交流展を通して改めて感じたのは、強みは、持っているだけでは不十分だということです。製品やサービスの中に確かに存在していても、それが適切な言葉で外に出ていなければ、市場では評価されません。
それは派手なコピーを作ることでも、格好いい言葉を並べることでもありません。「自分たちは、誰に、何を約束できるのか」この一点を、迷わず言える状態をつくること。展示会という場は、その重要性を非常に分かりやすく映し出していました。

言語化は、すでに持っている価値を、正しく前に出すための整理

今回の産業交流展を通して感じたのは、多くの中小企業が、すでに十分すぎるほどの価値と可能性を持っているということでした。
足りないのは、能力でも情熱でもありません。それを「届く形」で言葉にする視点が、まだ整理されていないだけです。
強みを言語化できれば、製品はより分かりやすくなり、コミュニケーションは軽くなり、次の事業判断にも迷いが減っていきます。

言語化は、何かを新しく足す作業ではなく、すでに持っている価値を、正しく前に出すための整理です。

その一歩を踏み出すことで、中小企業の製品やサービスは、もっと正当に評価されていく。今回の展示は、そんな可能性を強く感じさせる場でもありました。



つづく

プロフィール

Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー 
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。

TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。


・ 「東京ビジネスデザインアワード 2024」 テーマ賞受賞

・ 特許庁(独:INPIT)認定 デザイン専門家/ブランド専門家
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員
・ 東京都中小企業振興公社 デザイン経営スクール 第5期修了

《 ブランディング・サービス 》
・中小企業の「強み」を活かした新製品やサービスの開発サポート
・企業のブランドストーリーをカタチに 「ものがたりブランディング®」
・ブランディング入門サービス「3ステップ・ブランディング」
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