#19 理念を行動で体現する“バリュー”の役割

毎月第4週の木曜日に発信

この会社の特徴

みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了されてから、今年で11年目となりました。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして活動しています。

今回は、これまで深掘りした「ビジョン」「ミッション」に続いて、日々の行動を支える基準となる「バリュー」について、掘りさげていきます。「できるだけ、自分らしく、わかりやすくお伝えできるように心がけました。お読みいただけると嬉しいです。まずは、「ビジョン」「ミッション」のおさらいから。


ビジョン:目的地に旗印を立てること

「ビジョン」とは、企業やブランドが描く理想の未来像。それは単なる夢ではなく、志と戦略をもとにした未来への道しるべ。明確なビジョンがあると、社員の行動に一貫性が生まれ、社内外の信頼が育ちます。逆に、曖昧なビジョンは目的を見失わせ、短期的な成果に流されやすくなります。つまりビジョンとは、ブランドが向かう先に掲げる“旗印”であり、進むべき指針なのです。

ミッション:いまここで果たすべき役割を定めること

「ミッション」とは、企業が果たすべき存在意義や社会的な役割を言葉にしたもの。つまり「私たちは、なぜこの事業をしているのか?」という問いへの答えです。ビジョンが未来の目的地を示す“旗印”なら、ミッションは“いま、ここで私たちが果たすべき役割”。この軸があることで、日々の行動に意味が生まれ、ブランドは「ことば」から「実践」へと動き出します。

バリュー:理念を行動で体現する

ビジョンやミッションが“言葉で示す指針”だとすれば、バリューはその言葉を“行動に変える力”です。つまり、ビジョンを実現し、ミッションを果たすために「どう行動するか」を具体的に示すもの。それはスローガンではなく、社員一人ひとりの行動や判断に息づく価値観です。

たとえば、
・お客様に対して、どんな姿勢で接するのか
・仲間とどんな関係性を築くのか
・どんな判断を「私たちらしい」と言えるのか

こうした積み重ねが、「誠実さ」「挑戦」「チームワーク」「お客さま第一」など、企業の文化を形づくっていきます。

バリューの役割とは

バリューは、日々の行動や判断の「基準」となるもの。未来を描き(ビジョン)、存在意義を定めた(ミッション)あとに、日常の意思決定の場面で「私たちはどう振る舞うか」を具体的に示すのがバリューです。

  • ビジョン=ゴール(どこへ行くか)
  • ミッション=存在理由(なぜ行くのか)
  • バリュー=行動原則(どう進むか)

この三つがそろって初めて、企業の考え方・目的・行動が一本の軸でつながります。

「行動の軸」をつくる、バリューの力

中小企業では、経営者の想いがそのまま現場の判断に直結します。だからこそ「うちは何を大切にしている会社なのか」「どんな行動を良しとするのか」を言葉にして共有することが重要です。バリューがあることで、社員一人ひとりが同じ方向を向いて動けるようになります。それは経営者の想いを“現場が判断できる言葉”に変える仕組みとも言えるでしょう。

ここで、バリューについてユニークな事例を紹介します。
みなさんご存知のコンビニエンスストア「ローソン」です。

【株式会社ローソン】
グループ理念:「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」
ビジョン:「目指すは、マチの“ほっと”ステーション。」
バリュー(行動指針):「ローソン WAY」
1.マチ一番の笑顔あふれるお店をつくろう。
2.アイデアを声に出して、行動しよう。
3.チャレンジを、楽しもう。
4.仲間を想い、ひとつになろう。
5.誠実でいよう。

(出典:ローソン公式サイト「グループ理念・ビジョン・ローソンWAY」

ローソンの優れた点は、抽象的な理念を“現場で実践できる行動”にまで落とし込み、全社員が共通の価値観と行動スタイルをもって理念を体現できるよう設計されていることです。

バリューを「生きた言葉」にする

ここまでお話ししてきたように、ビジョン・ミッション・バリューの3つの軸は、企業の「考え方」「目的」「行動」を結びつける大切なフレームです。しかし、掲げただけでは意味がありません。大切なのは、それを日々の行動や判断の中で“生きた言葉”として機能させることなのです。

次回は、この「バリューをどう現場に浸透させるか」「どうすれば行動として定着させられるか」について、具体的な仕組みづくりの視点から掘りさげていきます。どうぞお楽しみに。

つづく

プロフィール

Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー 
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。

TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。


・ 「東京ビジネスデザインアワード 2024」 テーマ賞受賞

・ 特許庁(独:INPIT)認定 デザイン専門家/ブランド専門家
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員
・ 東京都中小企業振興公社 デザイン経営スクール 第5期修了

《 ブランディング・サービス 》
・中小企業の「強み」を活かした新製品やサービスの開発サポート
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・ブランディング入門サービス「3ステップ・ブランディング」
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