ホーリーの選ばれるブランディング #14

毎月第4週の木曜日に発信

この会社の特徴

みなさん、こんにちは。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了されてから、今年で11年目となりました。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして活動しています。

今回は、「ブランディングの本質」につながるお話しをしたいと思います。はじめはやや脱線しますが、「ブランディングの本質」について私なりに深掘りしていきたいと思います。お読みいただけると嬉しいです。





「知られる」ことの先にある、ブランディングの本質

今年のゴールデンウィークに、私も宣伝物のデザインで協力した、応援中のインディーズ映画が公開されました。もちろん自主製作らしく、大々的な広告予算はありません。そこで監督や主演俳優、プロデューサー自身が、上映館のある駅前でフライヤーを配布するなど、地道な告知活動を行っています。
少し話が逸れますが、この映画は長いキャリアを持つ著名な監督の作品でありながら、新しい試みや実験的な要素が多く含まれており、ジャンルの分類や内容の説明が非常に難しい作品です。現在は主にSNSで作品を応援しているのですが、紹介文の言葉選びに本当に悩まされており、今も日々苦闘中です(笑)。

話を戻しますが、「この作品をどうすれば多くの人に知ってもらえるか?」と考えていたとき、ある記事が目に留まりました。私自身の考えも踏まえて要約すると、そこには次のようなことが書かれていました。「マーケティングの世界では、企業や商品の名前が「知られること」が第一のハードルとされています。もちろん、名前を知られていなければ選ばれることはありません。無名の存在が市場で成功するのは非常に困難です。そのため、多くの企業が広告やSNSなど、さまざまなメディアへの露出を通じて「名前を売る」ことに注力しています。
しかし、現代のブランド戦略においては、単に「知られている」だけでは不十分であり、むしろ「どう知られているか」こそが最も重要なのです。」この内容を読んで、改めて大切なことに気づかされました。本当に素晴らしい記事でした。

「知名度」よりも「認知の質」

例えば、大手飲食チェーンが大規模な広告キャンペーンを展開し、誰もがその商品名を知っているとしましょう。しかし、その広告が過剰に誇張されていたり、提供された商品がCMと違っていたり、消費者の共感を得られなかった場合、その企業は「有名だけどあまり信頼できない会社」と認知されてしまう恐れがあります。


逆に、地味でも一貫したメッセージを発信し続ける地元企業は、「信頼できる会社」「誠実なブランド」として知られる可能性が高くなります。そうした「どう知られているか」は、「顧客の中につくられるブランドイメージ」ともつながっています。つまり、ブランドとは「認知の質」であり、その質は企業がどのような姿勢で顧客や社会と関わるかにかかっているのです。

その“イメージ”の土台となるのが、企業理念

では、「どう知られるか」をコントロールするには、どうすればよいのでしょうか?ここで登場するのが、「企業理念」です。企業理念とは、その会社が「何のために存在するのか」「何を大切にしているのか」といった、企業活動の根っこの考え方のことです。一言で表すと会社の「志」を言葉にしたもの、と考えていただくとよいと思います。

この理念がしっかり言葉で表現されていて、それをもとに日々の仕事が行われている会社は、外から見ても「芯がある」「ブレていない」と一貫性が感じられます。その結果、信頼されやすくなり、ブランドの価値が自然と高まっていきます。また逆に、理念があいまいで、目先の売上ばかりを追いかけているような会社は、メッセージがブレやすく、社員の動きもバラバラになります。そうなると、「あの会社は何をしたいのか分からない」と見なされたり、「その存在自体を意識されなくなる」ことにつながり、長期的な信頼を得ることは難しいでしょう。

社内への浸透がブランディングの本当の出発点

しかし、企業理念は言語化しただけでは社内に浸透しません。最も重要なのは、それを社員一人ひとりが理解し、日々の行動に反映させることです。この社内に浸透させることを「インナーブランディング」といいます。ブランドの価値は、広告やデザインだけでなく、社員の接客態度や、製品へのこだわり、アフターサービスといった様々な「顧客との接点」から伝わるものだからです。

企業理念は、単なるスローガンではなく、社員の判断基準そのものになっています。その理念に沿って意思決定をし、実行するからこそ、ユーザーはその企業に「信頼」を感じるのです。

言葉にして伝えることが重要

企業理念の浸透を実現するためには、「理念」そのものだけでなく、それを言葉にして明文化することが効果的です。よく使われるのが、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」という3つの考え方です。近年はそれに加えて「パーパス」も重要とされています。それぞれの定義には考え方に少し差もありますが、以下のような考え方があります。

  1. ビジョン(将来像):どんな未来を実現したいのか
  2. ミッション(使命):その為に何をするのか(担う役割は)
  3. バリュー(価値観):何を大切にして行動するのか(行動指針)
  4. パーパス(存在意義):何のために存在するのか

この3つまたは4つが企業内で明文化されしっかり共有されていれば、どんな立場の社員でも「自分がどんな価値を提供すべきか」「判断に迷ったときにどう行動すべきか」が明確になります。これこそが、ブランドの本質的な力だと考えます。

会社組織の活動ではありませんが、冒頭でお話しした自主製作映画の告知に関しても同じです。映画製作を応援するコミュニティに関わる中で、監督やプロデューサーなど、ボードメンバーの想いや考え方を、コミュニティ内にしっかりと浸透させることの重要性を強く感じました。

かなり駆け足でお話ししましたが、「ブランディングの本質」についてご理解いただけたでしょうか?では次回以降、一つひとつ分けて掘り下げていきたいと思います。

プロフィール

Branding & Design TOYPLOT 代表
ブランドデザイナー ホーリー 
1974年生まれ、大阪府出身。
デザインの専門学校を卒業後、数社の広告制作プロダクション勤務を経て、2010年3月独立。

TOYPLOTでは、企業のブランディング及び広告・デザイン制作のご依頼をいただいて活動しています。
これまで多くの広告制作に従事してきましたが、その過程でデザインだけでは解決できなかった課題も少なからずありました。制作したデザインで、クライアントの“想い”や“魅力”をお客さまに伝えきれているのか?と、もやもやとした思いを抱えていた時に出会ったのがブランディングでした。
これまで培ってきたデザインの経験とブランディングという戦略を武器に、“Branding & Design” で、顧客の成長とファンづくりをお手伝いします。


・ 「東京ビジネスデザインアワード 2024」 テーマ賞受賞

・ 特許庁(独:INPIT)認定 デザイン専門家/ブランド専門家
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー資格取得
・ 一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得
・ 一般社団法人ブランド・プランナー協会 2級資格取得
・ 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員
・ 東京都中小企業振興公社 デザイン経営スクール 第5期修了

《 ブランディング・サービス 》
・中小企業の「強み」を活かした新製品やサービスの開発サポート
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