家の困りごとを解決する企業として、昭島地域の人を支えたい。有限会社アイホームは、住宅リフォームから新築、増改築を担う他、販売することもできる住宅の総合業者として長年営んできました。クロス貼り業者としてスタートしてから今の事業に変化したのは、時代の変化とお客様のニーズに応えるため。その歩みについて代表の岡部 雅由さんにお話を伺いました。
企業情報:有限会社アイホーム
事業概要:一般建設業・内装仕上工事業・大工工事業
住 所:昭島市
代 表:岡部 雅由
リフォームから新築、販売まで。家の困りごとはワンストップで解決

昭島市のお客様と向き合ってきた有限会社アイホーム。住宅のリフォームをメインの事業にしています。ただそれだけにとどまりません。住宅の増改築や新築住宅の建築、さらには販売も行います。代表の岡部さんをはじめ、職人と事務スタッフの方々がお客様の丁寧に話を伺い、オーダーメイドの形で理想を叶えています。まさに家のお悩みをまるっと受け止める「町医者」のような存在です。
職人さんといえば、車に乗って遠方の現場にまで出向いて作業をする。そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。ところが岡部さん曰く「今はほぼ昭島市のお客様とお仕事をさせていただいている」とのこと。
アイホームの職人に話を伺うと、やはり通常は一つのエリアで仕事に向き合うよりも、依頼を受けて広範囲に出向いて仕事をすることが多いそうです。遠くに出向かず、ひとつの地域で仕事に集中できる環境は珍しいのだとか。
「もちろん決して簡単なことではなかったですよ。20年近くかけて少しずつ地域の人からお声をかけてもらえるようになったからこそです」と岡部さんは微笑みながら話します。一人のお客様が「アイホームさんよかったな」と感じると、別の人に「アイホームさんはおすすめだよ」と口コミで紹介される。そのくり返しによって今のスタイルが確立されていきました。
それも、岡部さんが真摯に仕事をして、お客様の希望に応えてきたからです。地域の人と関係をつくり、信頼を積み重ねてきた結果と言えるでしょう。長年作り上げられてきたアイホームの軌跡をたどっていきます。
クロス貼りを得意として、専門業者から総合業者へと成長
岡部さんはかつて工務店でクロス貼り職人として働いていました。しかし「もっと一人でたくさんの仕事を請け負い、クロス貼りの技術を磨きたい」と思っていたそうです。そこで25歳の時に職人として独立しました。独立直後は、遠方まで一人で車を走らせて仕事にいき、アパートなどを丸ごと1棟請け負いクロスの張り替えに専念していました。早朝から深夜まで作業漬け。泊まり込みで作業をすることも日常だったそうです。
「やればやるだけ、形になる。技術も身につき、売り上げが上がる。これほど面白い仕事はないな」と思ったそうです。いただく仕事はなんでも請け負い、精一杯こなす日々でした。
しかし住宅工事業の中でクロス貼りに専念してきた岡部さんに、転換期が訪れたのはバブル崩壊を迎える直前、1980年代後半のこと。岡部さんが40歳の頃でした。
クロス業は以前よりも利幅が減り、事業の主力としては心もとなくなっていったのです。そこで岡部さんは、住宅リフォーム業に目を光らせました。
「これまで大量に共有されてきた新築の家々は、いつか経年劣化して、補修や改築などが必要になってくる。そんな時にお客様の困りごとに応えられる職人でありたい」そう考えた岡部さんは家のあらゆるリフォームができる技術を身につけていきます。
順調にお客様を獲得し、千葉県・埼玉県・東京都内と朝は早く、深夜遅くまで仕事をこなして、最盛期は職人を6人抱えるほど成長。そして、1990年に個人事業主から有限会社へ組織化します。
家のリフォームは当然クロスの張り替えだけではありません。例えば電気や水道の配管の位置変更や、キッチンや浴槽、トイレといった住宅設備の入替、リビングルームからリビングダイニングルームへの間取りの変更や、傷んだ梁や柱の補修、基礎の強化といった躯体の改修など。求められる技術が幅広くなります。
「専門業者から総合業者へと成長を図りたい」。
岡部さんはそのために業務時間外を利用して勉強も始めます。電気工事士のほか、二級建築士の資格も3年かけて取得。リフォームだけではなく、「家の新築工事や、家の販売をサポートしたいから」と宅地建物取引士も取得し、改修した家や新築した家の販売も行えるワンストップ業者へと進化していきました。
時代の先を見越したからこその今

新築住宅の供給が多い時代は、住宅リフォームの仕事を請け負うにしても、そもそもニーズが多いとは言い切れないものでした。それから30年以上が経過し、新築住宅の供給数は減少傾向にあります。同時に中古住宅や既存住宅のリフォーム、リノベーションに注目が集まるようになりました。住宅への価値観が変化していっています。
30年の間、先見の明を持って仕事を続けるのは簡単なことではありません。リフォームのニーズが少なく、仕事を獲得するためにキュレーションサイトと呼ばれる、業者紹介サイトに事業者登録をしていたこともあります。
「どうしても価格競争に勝たないと仕事がいただけないから」と関東一円に出向いて、安く・早くとお客様の要望に応えていた時期もあったそうです。
しかしそんな薄利多売の事業では長続きしません。だからこそ、岡部さんは適正な価格、適正な勤務スタイルを維持しつつ、高クオリティな仕事を提供できるようように働き方を改善してきました。
「現場まで通う時間が短ければ短いほど、朝もゆっくり現場に向かい、帰りも早く帰ることができる。その分英気を養い、仕事により集中できる。食住近接を実現しています」。
現在は地元のマンションや団地の大型改修工事なども請け負っており、“昭島といえばアイホーム”とも言われるようになりました。
基本の技術を大切に、事業主になれることを目指す
総合住宅業となった今、岡部さんは、クロスはもちろん、住宅の内装にもこだわります。例えば床材には無垢材を採用して、その心地よさとクオリティの高い住環境をお客様に提供します。最新のエクステリアや住宅設備、バリアフリーなどインクルーシブな住環境にも配慮します。それは自身が2021年に脳卒中にて半身不随となったからこそ。
「自分の病気のことはもちろんですが、高齢化が進み様々な身体の課題を持った人が増えています。内装やデザインの美しさや心地よさだけではなく、機能的にも暮らしやすいかどうか。配慮しながら設計していますね」。
設計する際にはただ図面をデザインし、出来上がり図をお客様に想像していただくだけではなく、実際の設備やインテリアを目にしてもらっています。そのためにアイホームオリジナルの展示場も完備。特に得意とするクロスのパリッとした貼り具合や、無垢材のやわらかな床の感触を味わってもらっています。
「実際に内装を目にすると自分の暮らしの解像度が上がりますよね。好評の声をいただいています」と岡部さん。
なかにはふらっと通りかかった人が展示場に気づき「リフォームいいかもな」と足を止めてくれることもあるそうです。
独立を目指すためにあらゆる経験ができる
アイホームは、次世代を担う人材を求めています。やるからには岡部さんのようなポジションを目指してもらいたいそうです。
というのも、岡部さんはゆくゆくこの会社を受け渡したいと思っているから。現在岡部さんの後継として職人の池谷さんが修行しています。その池谷さんを支える職人を迎え入れたいと岡部さんは考えているそうです。

仕事をしながら岡部さんの手ほどきを受けている池谷さん。日々の仕事をどのように感じているのでしょうか。
池谷さんは元々住宅リフォーム専門ではなく、住宅を解体する職人だったそうです。職人であることには変わらないけれど、仕事の難しさが異なるそう。
「経験したことがない作業が出てくると、自分で調べて自分で試行錯誤して完遂します。日々その繰り返しです。もう毎日が学びの宝庫です」と言います。
これまでは壊すだけというシンプルな作業でしたが、単に家を作る、補修するといっても一つの技術では収まりません。「色々できるから毎日挑戦することがあって充実している」のだとか。
池谷さんにとっての喜びは「手がけたことが残る」こと。これまでは「壊して跡形がなくなるのが常でしたが、やっぱり出来上がったものを見ると『ああ、自分が手がけたものが目の前にある』という嬉しさはありますね」と微笑みます。
池谷さんは現在就業後に、岡部さんから毎日CADのレクチャーを受けています。一人で図面が描けるように特訓中です。日夜熱い指導が入ります。
「自分も岡部さんと同じように建築士を所持したいなと資格受験に挑戦しました。おかげさまで二級建築士を取得しましたが、仕事と勉強の両立生活はまさに休みなし。とても大変でした。ですがこうして今、座学を飛び越えて、実践をさせてもらえるのはありがたいことです」と言います。
労働環境としては健やか。朝の作業は9時からで、夕方も17時まで。早朝作業深夜作業もありません。業務時間外は余暇や家族との時間、勉強の時間にも当てられます。
もちろん業務外時間に必ず残業をしたり、学んだりしろということではありません。
ただ「この仕事一筋で食べていきたいという熱量と学びに対する貪欲さがある人がここにきてほしいですね」と岡部さんは話します。
「やることをやり、健やかな生活をする」。その上で、まだ学びたいことがあったらいくらでも学ぶ時間とスキルを提供するのがアイホーム。
「自分で仕事人生を創り上げるのは実に面白いことですよ。創造できる人が来てほしいですね」。