「梅澤朗広の採用SDGs」第8回目は、「CRMベストプラクティス賞から学ぶ、企業の理念と実践を伝える重要性」について考えます。
福井県鯖江市の「市民主役の地域活性モデル」
皆さんは、福井県鯖江市についてどのようなイメージをお持ちですか?鯖江市は、日本有数のメガネフレームの産地として知られていますが、地域活性化の先進事例としても注目を集めています。今回、鯖江市の「市民主役の地域活性モデル」が、一般社団法人CRM協議会が主催する「2024 CRMベストプラクティス賞」を受賞しました。この賞は、顧客中心の理念を実践した企業や自治体を表彰するものであり、鯖江市の活動が高く評価されました。
SDGusサポーターズ株式会社では、このような地域や社会に貢献する取り組みを支援しており、SDGsの「住み続けられるまちづくりを」(ゴール11)達成に向け、自治体の優れた取り組みをCRMベストプラクティス賞へ推薦しています。鯖江市の受賞は、2021年の東京都日野市、2023年の千葉県市原市に続き、3例目の受賞となりました。
CRMとは何か?
まず「CRM」とは何でしょうか?CRMは「カスタマー・セントリック・リレーションシップ・マネジメント」の略で、日本語では「顧客中心の関係管理」を意味します。本来、企業が顧客との長期的な信頼関係を築くための戦略や手法を指しますが、近年ではこの概念が自治体や地域活動にも応用されています。「顧客」を市民や地域住民と見立て、その声を施策に反映させ、地域活性化を目指す動きが広がっています。
今回受賞した鯖江市の「市民主役表彰」は、まさにこのCRM理念を行政に応用したモデルです。地域で活躍する市民を、市民自らが表彰するというユニークな仕組みを持ち、地域社会の発展を市民主体で促進しています。この仕組みにより、市民は自らの活動に誇りを持ち、さらなる地域貢献への意欲を高めています。
鯖江市の取り組みが示す可能性
表彰式は東京アメリカンクラブで行われ、多くの企業が参加する中で、唯一の自治体として表彰された鯖江市の事例は大きな注目を集めました。佐々木勝久市長は、受賞に際して「地方都市としての取組が表彰され、大変励みになる。この賞は市民全員でいただいたものだと思う」と語り、市民とともに歩む地域づくりへの意欲を示しました。
鯖江市は、地場産業であるメガネフレーム製造の拠点であるだけでなく、市民参加型のまちづくりでも全国的なモデルとなっています。この取り組みは、自治体におけるCRMの可能性を示し、地域の「顧客」である市民が主役となる新しい地域活性化の形を提示しています。
理念から行動へ—企業や自治体の取り組みを発信する重要性
今回の表彰式を通じて感じたのは、理念を掲げるだけでなく、それを具体的な行動に変え、さらに積極的に発信することの重要性です。鯖江市では、市民参加型の施策を通じて地域社会に貢献し、その成果をSDGsの目標「11 住み続けられるまちづくりを」に結びつけています。また、実績をメディアを通じて広く発信し、他の自治体や企業への良い刺激となっています。
私たち企業も、理念を具体的な行動に移し、それを正しく発信することで企業価値を高めることが求められています。以下に、そのためのポイントを紹介します。
自社の取り組みをより広く発信するための3つのポイント
理念や実践を効果的に伝えるには、3つのポイントがあります。
1. 成果を数値化し信頼を得る
顧客満足度向上や地域貢献活動の成果を数値で示すことで、信頼性が高まります。例えば、顧客満足度を定期的に測定し、その改善結果を公開する、あるいは環境対策の成果を数値として発信することで、企業が理念に基づいて活動していることを実証できます。
2. 連携で実現する成果を発信
顧客や地域社会のニーズに応えるために、パートナー企業や地元の自治体と協力することで、企業の理念が単なる言葉ではなく行動として表れていることを示せます。たとえば、鯖江市のように市民主体の取り組みを支援することで、地域に根差した活動を行う姿勢が伝わりやすくなります。
3. 情報発信を強化し活動を広める
ウェブサイトやSNSでの発信はもちろん、定期的なニュースレター、メールマガジンや活動報告書の公開など、幅広い方法で情報を発信することで、より多くの人に企業の取り組みを知ってもらうことができます。また、社内でも活動報告を共有し、従業員が自社の取り組みに誇りを持つことで、組織全体の一体感が高まり、さらなる成果へとつながります。
地域や社会とともに未来を創るために
今回の表彰式に参加して、鯖江市の佐々木勝久市長は「人口6万7千人の一地方都市の取組が脚光を浴びる機会が少ないので、表彰をされたことは大きな励みになります。6万7千人の市民、皆でいただいた賞として、今後はより市内へ発信するとともに、取り組みを強化していきたい」と述べられていました。
弊社がこの表彰に携われたことをとても嬉しく思うとともに、今後も企業として、そして社会の一員として、持続可能な未来の実現に向けた行動を続け、CRMの理念を活用した先進的な活動を推進してまいります。
プロフィール
梅澤 朗広
SDGusサポーターズ株式会社 代表取締役
日本JC公認SDGsアンバサダー
FC NossA八王子 アドバイザリーボード
大切にしている価値観:感謝・貢献・共創
野村證券、東京ヴェルディを経て2019年にSDGusサポーターズ株式会社を設立。SDGsの「持続可能な社会の実現」「誰一人とりのこさない」の理念に共感し、企業に対してCSV(共通価値の創造)の観点で事業活動と社会活動の両立に向けた経営サポートをおこなっています。SDGsと自社の活動に対する理解を深めてアクションを考えるワークショップや、様々なパートナーと連携して営業・広報・採用のサポートをおこなっています。
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