梅澤朗広の採用SDGs #7

毎月第3週の木曜日に配信

この会社の特徴

「梅澤朗広の採用SDGs」第7回目は、「ビジネスで解決したい社会課題は何ですか?」について考えます。

目次

私がビジネスに取り組む目的

私は2010年から2016年までサッカーJリーグの東京ヴェルディで働いていました。サッカーの仕事といっても選手としてのプレーではなく、クラブスタッフとしてスポンサー営業や土日の地域のイベントに参加して、試合の告知活動をするなど、ファンを増やしてクラブの売上を増やす仕事をしていました。

もともとは証券会社で働いていましたが、ヴェルディが4億円の債務超過に陥り、経営危機となって消滅の危機に直面しました。そこで、私が住む日野市がヴェルディを応援していたので、「地元のチームを応援したい」という想いと、カズさんやラモスさんなどが活躍し名門と呼ばれたヴェルディがJ2で苦しんでいたので、復活に少しでも貢献できればという想いで、昼夜問わず働きました。

なんとかヴェルディの存続が決まりましたが、「愛するクラブが無くなるかもしれないという悲しみ」は心に深く刻まれました。そこから、ヴェルディを復活させるために、「たくさん営業してスポンサーを増やしたい」「ホームタウンの会社や商店街などをたくさん訪問して、ヴェルディに興味を持ってもらい、試合観戦に来てほしい」といった、多くのやりたいことがありました。しかし、自分一人の力では限界があり、いかに自分の業務効率を高めるか。ヴェルディを応援する仲間を増やしていくか、を常に考えていました。

その経験から、SDGsの「持続可能性」、「パートナーシップで課題を解決する」という価値観に強く惹かれて、SDGsの普及と実践に取り組む会社を立ち上げました。現在は、セミナーでの講演や、システム会社と協力してクライアントの業務効率の推進や、カーボンニュートラル対応を通じて脱炭素経営の推進サポートをしています。

これまでの経験や想い、そして仲間との協力を通じて、就労人口の減少や気候変動などの社会課題をビジネスで解決していきたいと思います。

アウトサイド・イン・アプローチとは

ビジネスで解決したい社会課題を考える際、企業が果たすべき役割として、社会や環境のニーズにどう応えるかが重要です。そこで、課題にどう取り組むべきかを考えるのに有効なのが、アウトサイド・イン・アプローチです

アウトサイド・イン・アプローチは、マーケットインの考え方を基礎としています。マーケットインとは、企業が顧客や市場のニーズに基づいて製品やサービスを開発するアプローチです。これに対して、プロダクトアウトは、企業が自社の技術や強みを前提に製品やサービスを提供する方法です。プロダクトアウトでは企業の内部資源に焦点が当てられますが、マーケットインは外部環境のニーズに応えることを重視します。

アウトサイド・イン・アプローチは、このマーケットインの思想をさらに進め、企業が社会や環境の問題を起点に目標を立てて活動する経営の方法です。つまり、社会課題を解決しながら、顧客ニーズにも応え、事業利益を上げるビジネスモデルを構築することが重要となります。

アウトサイド・イン・アプローチを採用することで、企業は単に利益を追求するだけでなく、持続可能な社会の実現を目指すことができます。以下に、具体的なビジネスへの影響をまとめます。

CSVに関する記事はvol.5を確認ください。

新たな市場機会の創出

社会課題を解決するための技術やサービスは、既存市場では満たされていない需要を生み出すため、ビジネスの成長機会となります。

社会的責任の遂行

企業は、社会や環境への貢献を通じて信頼を得ることができ、ブランド価値の向上につながります。

従業員のモチベーション向上

社会的意義のある活動に従事することで、従業員の意識やモチベーションが高まり、生産性の向上が期待されます。

顧客中心の製品・サービス開発

社会的なニーズに応える形で製品開発を行うことで、顧客からの支持を得やすくなり、企業の競争力が強化されます。

持続可能性の向上

持続可能な社会に向けた取り組みを行うことで、長期的なビジネスの安定性が確保され、持続可能な成長が可能となります。

事例紹介

日本の企業もこのアプローチを採用し、社会的課題の解決に積極的に取り組んでいます。例えば、avatarin株式会社は、遠隔操作ロボットを活用し、移動が困難な人々の生活を支援するサービスを提供しています。また、株式会社エコシステムは廃瓦をリサイクルして環境に優しい舗装材を提供し、持続可能なインフラ開発をサポートしています。

さらに、航空業界のリーダーであるANAホールディングスは、燃費効率の高い機体の導入や次世代燃料の使用により、CO2排出量の削減に成功しています。これらの企業は、持続可能なビジネスの実践を通じて、社会的責任を果たしつつビジネスチャンスを拡大しています。

注意点と課題

アウトサイド・イン・アプローチを効果的に実践するためには、プロダクトアウトとマーケットインのバランスを取ることが重要です。企業は内部の強みや目標も無視せず、社会的・環境的な視点を取り入れながら、バランスの取れた戦略を構築する必要があります。

また、外部の社会的な視点を取り入れるためには、第三者との対話が不可欠です。多様なステークホルダー(利害関係者)の意見を反映させることで、より効果的な目標設定が可能となります。さらに、複数の社会課題に対応する際には、トレードオフ(何かを得るために別の何かを犠牲にすること)を避け、相乗効果を生み出すことが求められます。

最後に

アウトサイド・イン・アプローチは、企業が社会的課題に向き合いながら持続可能な成長を実現するために有効な手段です。このアプローチを通じて、企業は単に利益を追求するだけでなく、社会や環境に対する責任を果たし、従業員や顧客、そして社会全体に貢献することができます。持続可能な社会の構築に貢献していくために、活用していきたいアプローチ方法になると思います。

プロフィール

梅澤 朗広

SDGusサポーターズ株式会社 代表取締役
日本JC公認SDGsアンバサダー
FC NossA八王子 アドバイザリーボード

大切にしている価値観:感謝・貢献・共創
野村證券、東京ヴェルディを経て2019年にSDGusサポーターズ株式会社を設立。SDGsの「持続可能な社会の実現」「誰一人とりのこさない」の理念に共感し、企業に対してCSV(共通価値の創造)の観点で事業活動と社会活動の両立に向けた経営サポートをおこなっています。SDGsと自社の活動に対する理解を深めてアクションを考えるワークショップや、様々なパートナーと連携して営業・広報・採用のサポートをおこなっています。

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