みなさん、はじめまして。
ブランドデザイナーのホーリーです。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートして約30年。
主に企業の広告制作に従事してきました。
2014年にブランディングと出会い、その「伝わる威力」に魅了され、その日からブランディングについての探求をはじめて今年で10年目となりました。
大げさな自己紹介をしましたが、とくに研究者というわけではありません。
現在は、企業の「らしさ」を磨いて、デザインで「よりよく」伝える、ブランドデザイナーとして企業の想いをお客さまへ伝えるお手伝いをしています。
前回に引き続き、インナーブランディングのおはなしです。
ではどうすれば「一貫性」のあるメッセージを発信できるようになるのか?
社内の意思を統一させるには何をすればいいか?
みなさんお分かりになりますか?
そもそも、なぜ企業は「一貫性」を保てないのか?
その原因のひとつは、企業活動において到達したい目標が個人レベルだと違いがあること。また、社員の会社で働く動機や目的がひとつではないということ。お金を稼ぐ為、家族を養う為、夢の為、趣味の為など、何のために働くかは人ぞれぞれだからです。ですが、その一人ひとりの違うをなるべくひとつにまとめることが企業には求められています。
みんなが共有できる理念
様々な考え方を持つ社員が集まる企業。そんな社員をひとつにまとめることができるのは、全社員が共有できる理念です。
企業の在り方やあるべき姿、またその価値観を明文化します。すでに企業理念や経営理念として、多くの企業に取り入れられています。
例えば、「経営理念」を明文化すると、その企業が目指すべき方向が明確になり、日々の行動に迷いがなくなり、結果として社員のベクトルをひとつにまとめることができます。
その他にも企業理念や行動指針、同じような意味合い(厳密には異なる)で使われることの多いMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、パーパス、ステートメント、フィロソフィ、スローガン、クレドなどがあります。
もちろん全てが必要なわけではなく、企業の課題や目的にあわせて定めることが大切です。また、それらの定義は自社の変化を測るガイドラインのような役割を果たし、定期的に企業活動がその定義に則しているかを見直すことで、変化や成長の「見える化」を可能にしてくれます。
ポジティブな思考を生むビジョン
近年、MVVの策定は企業の長期的発展には必要不可欠な存在といわれています。企業が長く活動を続ける中で、社会情勢が目まぐるしく変化する現代において、進むべき正しい方向に進めなくなることは出来る限り避けなければなりません。そのためにも正しい企業活動の指針となる定義が必要不可欠となるのです。
MVVの定義も様々ありますが、主にミッションとは「果たすべき使命」、ビジョンとは「実現したい未来」、バリューとは「約束する価値」と定義されています。
とくにミッションとビジョンは会社の根幹を担う大事な考え方を明文化するので重要な指針となります。
中でも「実現したい未来」を定義するビジョンは、企業の事業形態にもよりますが数年〜数十年後をイメージして定義します。単に売上のような数値目標ではなく、自社のお客様や社会全体が応援したくなるような未来のイメージが望ましいとされています。ビジョンを明文化することで社員のポジティブな思考を生みだし、次にその思考がポジティブな行動へとつながっていきます。
ポジティブな行動を促すクレド
そのポジティブな行動を明文化したのがクレドです。
クレドでは、企業がミッションやビジョンを達成するために大切にしている信条や行動指針などを定め、社員個人がどう行動するかを定義します。また場合によってはチーム単位で考えていくこともあります。
忘れてはいけないのが、クレドは明文化することが目的ではないということ。社員一人ひとりが実践しミッションやビジョンを達成するために行動することが目的なのです。
クレドは、ラテン語で「私は信じる」という意味を持つ単語である。
出典:実用日本語表現辞典
「credo」は英語で、”a statement of the beliefs or aims that guide someone’s actions”と定義される。つまり、誰かの行動を導く信念や目標を表す声明という意味である。
迷った時の道しるべとなる北極星
企業活動の中で経営者だけでなく社員もまた様々な困難に直面することでしょう。複雑な要因が絡みあい、変化も激しくそのスピードも速い現代において、選択が困難な場面でも迷わず進み続けるための指針となる「北極星」が企業やそこで働く社員には必要なのです。
今の時代、企業の経営者に求められるのは、そんな誰もが迷わず目指せる「北極星」を見つけ指し示すことなのかもしれません。
つづく